2021年の宇宙産業の世界市場規模は約4,693億米ドルでした。宇宙産業には、宇宙研究や宇宙探査、宇宙空間の利用といったさまざまな活動が含まれます。宇宙産業を部門ごとに区別する方法はいくつか存在しますが、その一つが「通信目的での宇宙利用」と、「科学的または商業的な宇宙研究・探査」で分ける方法です。2018年には、通信産業(主に一般消費者向けテレビ関連)が、宇宙産業全体の約26パーセントを占めていました。
2040年には、衛星やその他の宇宙技術を活用したインターネットインフラが整備されるようになるとみられ、この割合は宇宙産業全体の50パーセントを超えると予測されています。一例としては、スウェーデンの通信機器大手Ericsson(エリクソン)が、地球上どこでも衛星通信を利用できるシステムの整備を進めており、2~3年後の商用化を目指しています。この技術を活用すれば通常は電波の届かない遠隔地でもスマートフォンなどで通信が可能になるとみられ、実用化に期待が寄せられています。
衛星産業
通信産業と似て非なる分野が、衛星産業です。主に商業通信に使われることが多い衛星ですが、軍事利用や科学研究など、非商業的な用途に用いられることもあります。2021年の衛星産業の売上高は、世界全体で2,790億米ドルに達し、2019年に新たに打ち上げられた人工衛星の数は95基にのぼりました。宇宙に打ち上げられる衛星の数は近年、年間で平均128基の打ち上げが行われた1960年代半ばから1970年代後半の絶頂期と比べると減少しています。2019年、地球の軌道上に存在した衛星は合計2,514基で、そのうち1,327基が米国の衛星でした。なお、軌道上を運行する衛星の数が米国に次いで多い中国は、2023年4月、気象観測衛星「風雲3号G」の打ち上げに成功しました。この人工衛星は、気象予測や災害防止、気候変動への対応に用いられるとみられています。
宇宙産業とNASA
宇宙産業は「商業宇宙活動」と「政府の宇宙支出」に分けることができます。2019、政府の宇宙支出は870億米ドルにのぼり、宇宙産業全体の約20パーセントを占めました。最も支出が大きかったのは米国で、2020年度のNASA(アメリカ航空宇宙局)の予算は225億米ドルを超えています。ESA(欧州宇宙機関)やCNSA(中国国家航天局)も宇宙産業における主要なプレイヤーですが、2017年度の両機関の予算を合わせても107億米ドルで、同期間のNASAの予算のわずか半分となっています。
NASAの予算の半分は宇宙探査に割り振られており、残りは科学研究や教育、エンジニアリング、運営管理などに充てられています。一方で、NASAは宇宙探査よりも研究や技術開発、防衛などに力を入れるべきだという意見が世論には存在します。2018年の調査によると、火星に宇宙飛行士を送り込むことを最優先すべきと考えている米国の成人は、わずか18パーセントでした。しかし、2023年4月には、日本の林芳正外務大臣と Rahm Emanuel (ラーム・エマニュエル)駐日米国大使との間で日本国政府とアメリカ合衆国政府による「火星衛星探査計画に関する交換公文」の署名が行われるなど、各国は火星の衛星の起源や太陽系の惑星の成り立ちなどを探る探査をこれからも協力して継続していくとみられています。
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