世界各国の失業率は、2019年後半から猛威を振るった新型コロナウイルス感染症の世界的流行(パンデミック)により上昇しました。店舗や飲食店は閉鎖をよぎなくされ、旅行・宿泊業に携わる大勢の人々は厳しい渡航制限により職を失いました。しかし、各国政府による景気刺激策が功を奏したことに加え、パンデミックに対する企業の高い適応能力も手伝って、世界の労働市場は素早く回復することができたとみられています。
2022年には、世界の失業率がほぼコロナ禍以前の水準に戻りました。世界の失業率とは、労働力人口(15歳以上の働く意欲のある人)全体に占める完全失業者(職がなく、求職活動をしている人)の割合を示したものです。失業率が景気の遅行指標と呼ばれる理由は、景気変動に対する反応が鈍いためです。過去の景気変動に左右されるため、将来的な景気動向の予測には向いていないと考えられています。
2023年5月、総務省は同年4月の日本全国の完全失業率(失業率)が2.6パーセントとなり、完全失業者数が190万人であったと公表しました。失業率は前月比で0.2ポイント低下し、3か月ぶりに改善したとみられています。 また、中国国家統計局が2023年5月に公表した雇用統計によると、同年4月の中国の都市部における失業率は5.2パーセントと前月比で0.1ポイント下降しました。一方で、16歳から24歳の若年層の失業率は3月に比べて0.8ポイント上昇し、20.4パーセントに達したとみられています。この数字は2018年1月に統計を開始して以来、最高の値でした。
若者の就職難
一部の国では、若者の失業率が全体の失業率を大きく上回ることがあります。全体的な経済状況や、教育へのアクセスとその質、そして新卒者や未経験者でも応募できる求人が十分に存在するかなど、若者の失業率の高さには多くの理由が存在します。また、人々が職を求めて海外に移住する背景には、国内での求人の少なさや賃金の低さがあるとみられています。
欧州連合(EU)加盟国の旅券を所持する人であれば、より良い労働環境を求めてEU域内で自由に移住できますが、EU域外出身者にとって、職を求めてEU域内へと移住することは困難な状況です。2023年3月にEUの統計局であるEurostat(ユーロスタット)が公表したデータによると、イタリア在住のEU域外出身労働者の約68パーセントが、大学などの高等教育機関を卒業していたにもかかわらず、中・低技能の職についていたことがわかりました。この数字はEU全体ではおよそ40パーセントで、移民が多いフランスやドイツでは30から35パーセント程度とみられています。
失業が健康に与える影響
失業は、体とこころの両方に影響を及ぼす可能性があると考えられており、失業は世界中の人々が抱える大きな悩みの一つとなっています。国の支援を受けられる失業者もいますが、景気後退や物価の高騰に見舞われるなか、日々の生活費を捻出するのに苦慮している失業者は少なくありません。しかしながら、世界の失業率は今後数年間にわたって比較的低い水準で推移すると予測されています。
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