2022年以降、生成型AIと呼ばれる最先端技術でクリエイティビティを拡張する動きが急速に進んでいます。生成型AIとは、深層学習(ディープラーニング)を活用して、ユーザーの指示通りにアートや音楽などのクリエイティブなコンテンツを生み出すプログラムやアルゴリズムの総称です。創造性に富んだ技術でインターネットを席巻する生成型AIですが、最近ではさまざまなサービスをオンラインで利用できるようになっています。
生成型AIは、機械学習の一種ですが、より複雑な仕組みをもっています。訓練された膨大なデータセットを基に、ユーザーの指示に合わせてさまざまな創造性溢れる作品を生み出すことが可能です。2022年にリリースされた有名な生成型AIには、ミッドジャーニー(Midjourney)やダリ(Dall-E)、そして今なお高い人気を誇るチャットGPT(ChatGPT)が挙げられます。なお、Dall-EとChatGPTを開発したのは、飛躍的な成長を遂げているスタートアップ企業、オープンAI(OpenAI)です。同社は、主にテック大手のマイクロソフト(Microsoft)から出資を受けています。
2023年7月には、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が、日本語のWebデータのみで学習し、日本語に特化した大規模言語モデル(生成型AI)を開発したと発表しました。同研究機構が開発した生成型AIは、350 GBの日本語Webテキストのみで訓練された400億パラメータのモデルで、ChatGPTなどと比較できる水準ではないものの、文章の要約や翻訳などが可能になったとみられています。
生成型AIの重要性
生成型AIは、AI産業における最先端のイノベーションであり、ここ数年で大きく拡大した巨大な産業サブグループとして、この先の10年も成長が続くと予測されています。生成型AIは、主に音楽や文学、芸術などのクリエイティブ分野への影響が大きいことから、重要な技術であると考えられています。これまで人工知能は、芸術作品をオーガニックに生成することができなかったことから、芸術分野は人間の専売特許のごとく扱われてきました。そのため、生成型AIは AI市場のみならず、アートからジャーナリズムに至るまで、より幅広い分野に浸透していくことが見込まれています。
米テック大手のグーグル(Google)は、2023年6月に対話型AI「グーグル・バード(Google Bard)」からGoogleスプレッドシートにエクスポートするアップデートを実施したことを公表しました。ほかにも、数学的な作業やコーディングなどのプロンプト(AIへの指示)に対して、より的確な答えを出すことができるようになるとみられています。
生成型AIの影響
生成型AIがもたらす影響は、すでに複数の分野で確認できます。米国では、AIが人々の生活を向上させる可能性が高いと考えている人が少なくありませんが、大半の人々は、このテーマに関して相反する感情を抱いているとされます。しかし、2025年までには幅広い分野でAIが採用される事例が増えると予測されており、ChatGPTもユーザー獲得という点で驚くべき成功を収めています。2022年にリリースされたばかりのChatGPTですが、この生成型AIによって書かれた学士論文はより簡単に複製できることから、世界中の大学が大きな課題に直面しています。
文部科学省が2023年7月に発表した生成型AIの教育現場での導入について示した「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」によると、自然な英語表現を身につけるための英会話の相手や、高度なプログラミングを学ぶ手段として活用が考えられるとされます。同ガイドラインでは、活用が適切でない例についても言及されており、「教科書などの質の担保された教材を用いる前に安易に使わせること」や、「定期考査や小テストで子どもたちに使わせること」などが挙げられています。
また、生成型AIによるアートは他人の作品を組み合わせて作りだした盗作である、または単純に「アートではない」と考えている芸術家も存在します。変化や技術開発への反発は、人々の生活やウェルビーイングに悪影響が及ぶことへの懸念から生まれるのであり、至って自然なことです。しかし、歴史を振り返ると、人々の抵抗が技術の進歩を抑えることができた事例は稀であることから、私たちは変化を恐れるのではなく、産業がいかにして変化に適応してきたかに注目すべきなのかもしれません。
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