金(きん)は、いにしえより「富と繁栄の象徴」としてあがめられてきました。紙幣や硬貨、その他の資産とは異なり、時代を通して安定した価値を保ち続けてきた金は、富を次の世代へと確実に受け継ぎ、維持するための手段として用いられてきました。大半の国では中央銀行が金を保有していますが、その目的は国家の信用や通貨の安定性を保証するためです。保有している金の量が世界最大の国は米国で、保有量は8千トンを超えます。
なお、世界第6位の金保有量を誇る中国の国家外貨管理局は2023年9月、同年8月末時点で同国の金保有量が6,962万オンスに達し、前月末の6,869万オンスから増えたと発表しました。10か月連続での増加となり、2022年11月から2023年8月までに698万オンスの金が積み増されました。中国は米国債の保有量を減らしており、ほかの資産への投資が必要となったことが背景にあるとみられています。
金の主な用途
金の最も一般的な用途は、宝飾品です。用途別に見た場合、宝飾品需要は金需要全体の3分の1から3分の2を占めています。しかし、2022年第1四半期は状況が異なり、全世界の金需要の半分近くを投資が占めました。ロシア・ウクライナ戦争によりもたらされた不確実性および経済的影響が、金投資増加の要因とみられています。金相場は結果として、2022年3月に1トロイオンス当たり2千米ドル近くに値上がりしました。一方で、金相場の予測値を見ると、2024年には下落に転じることが見込まれています。
2023年8月には、日本国内で取り扱われる金の小売価格が史上初めて1グラム当たり1万円を突破しました。主な原因としては、世界的な金価格上昇と円安の進行が挙げられます。足元では、FRB(米・連邦準備制度)が利上げを継続し、日米の金利差がさらに拡大するとの見方から、9か月ぶりの水準まで円安ドル高が進みました。
金に投資する理由
金(きん)は生活費が高騰すると価値が上昇する傾向にあることから、金への投資は歴史的に優れたインフレ対策とされてきました。金の価格は景気後退期においても安定しており、株やその他のより価格変動リスクの高い金融資産と比べて景気の影響をさほど受けないとされます。そのため、多くの人は金を「有事の安全資産」とみなしています。
個人投資家が金に投資する方法はさまざまです。一つ目は、金貨やゴールドバーのような現物に投資する方法ですが、保管リスクに加え、金額が高くなりがちなのが難点です。二つ目は、投資信託やETF(上場投資信託)といった投資ファンドに投資する方法で、投資家は投資ファンドが管理する金の一部を所有する形となります。貴金属ETFのなかで最も運用資産額が大きいのは金を対象としたETFで、一部の投資ファンドは数十億米ドルを超える金を運用しています。三つ目は、金採掘会社の株(金鉱株)に投資する方法です。株への投資のため、金に投資するメリットの多くが失われてしまいますが、コロナ禍においては金鉱株が一時値上がりしました。
ある調査によると、2023年時点で世界一価値のある金鉱は、露・シベリア南東部のイルクーツク州にあるスホイ・ログ(Sukhoi Log)の新規鉱床であるとみられています。スホイ・ログ金鉱床の価値は、約90億米ドルと見積もられており、金埋蔵量は4千万オンスにのぼると推定されます。
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