ブロックチェーン技術は主に金融業界で実用化されていますが、ゲームや不動産、サプライチェーンマネジメント、ヘルスケアの分野でも活用が進んでいます。なかでも電子マネーは、2023年時点で最も頻繁に取りざたされているブロックチェーン技術の応用例です。すでに複数の国・地域では、「デジタルユーロ」やナイジェリアの「eナイラ(e-Naira)」など、法定通貨のデジタル版といえる中央銀行デジタル通貨(CBDC)の開発が始まっており、その主な目的はブロックチェーン技術を用いてクロスボーダー取引を促進することにあります。一方でビットコイン(Bitcoin)のような非中央集権型の仮想通貨(暗号資産)は、送金速度が遅く、価格の変動が激しいため、小売業界でのスピーディーな決済には不向きだとされています。
イーサリアム(Ethereum)やソラナ(Solana)、カルダノ(Cardano)などのブロックチェーン技術を基盤にしたプラットフォームには、スマートコントラクト(特定の条件が満たされた場合に一定の処理が自動的に実行されるといった契約管理の自動化)の機能が備わっています。DeFi(分散型金融)は、このスマートコントラクトを活用した金融サービスのことで、主に仮想通貨取引所(DEX)やレンディングプラットフォームに活用されています。
遊んで稼げるNFTゲーム
DeFiから派生したのがNFTゲーム(ブロックチェーンゲーム)で、ゲーム上でバーチャルのインゲームアイテムを売却・購入することができます。こうしたアイテムは、NFT(非代替性トークン)と呼ばれる偽造不可な所有証明書付きのデジタルデータで、ゲーム業界では主にゲーム内のアイテム・グッズとして用いられています。アクシー・インフィニティ(Axie Infinity)などのNETゲームでは、プレイしながらNFTを獲得し、仮想通貨や法定通貨に換金できることから、アジア太平洋地域で急速に人気を集めました。最も人気のあるNFTゲームであるエイリアン・ワールド(Alien Worlds)は、BNBスマートチェーン(BSC)と呼ばれるブロックチェーン上で構築されたもので、仮想通貨取引所のバイナンス(Binance)との連携が可能です。NFTゲームは若いオーディエンスの人気を集めており、2022年11月の調査では米国の18歳から34歳の回答者の17パーセントが、遊んで稼ぐP2E(Play-to-Earn)に非常に関心があると答えています。
日本のゲーム大手もNFTゲームの開発に乗り出しており、株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングスは、2024年1月に発表した年頭所感において、ブロックチェーン・エンターテインメント、Web3(ブロックチェーンなどを使ってユーザーのデータを自律分散的に管理できるネットワーク)、AI・クラウドの3つの新事業分野に取り組んでいることを明らかにしました。同社は、2023年12月に初のNFTゲーム「シンビオジェネシス(SYMBIOGENESIS)」を正式に開始するなど、新興技術を活用したサービスの提供に力を入れています。
メタバース不動産
NFTは、2021年後半まではインゲーム(ゲーム内)アイテムやNFTアートとしての利用が主流でした。しかし、同年11月にフェイスブック(Facebook)がメタ(Meta)に社名変更したことで、仮想不動産(メタバースの土地)が新たな活用方法として注目されるようになりました。メタバース上の仮想不動産の売上高は、同時期に大幅な増加を記録しています。
仮想不動産には、デジタルでしか存在しない物件や、実在する建物または象徴的な建造物をデジタルで再現したものがあります。後者の場合、投資家は実在する不動産をトークン化でき、購入者は現実世界にある物件の(仮想世界上の)所有者になれます。2022年に実施された調査では、仮想不動産がもたらす受動的所得の可能性に着目する人が多いためか、米国の回答者の多くが、メタバース上で最も購入に関心のあるものとして不動産を挙げています。
メタバースやNFTを巡る市場の熱が冷めてきたことに伴い、仮想不動産への関心も低下しています。2023年の調査では、米国の不動産業者はブロックチェーンを不動産業界に大きな影響をおよぼす要素(ディスラプター)とみなしていないことがわかりました。
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