飲食料品小売業は、日本の小売業において最大の業界であり、食品卸売業と合わせると食品業界の3分の1を占めます。消費者と食品生産者の仲介役として、どんなに小さな集落であっても生鮮食品や加工食品を供給する役割を担っています。食料品の売上は近年安定しているものの、景気後退や食料品価格の高騰は業界の成長を鈍化させています。
食品スーパーは、国内の飲食料品小売業の中核をなす存在です。生鮮食品や加工食品を豊富に取り揃え、食品以外の日用品も取り扱うことで、ほかの販売チャネルに対して優位に立っています。食品の生産者・製造業者はスーパーへの依存度を下げるため、EC(電子商取引)での販売を模索してきました。しかし、食品・飲料品部門では依然としてEC化率が低く、ネットショップは市場での地位確立に苦戦しています。
とはいえ、飲食料品小売業は日本で最も多様性に富む業界のひとつです。最近では食品スーパー以外にも、コンビニエンスストアや百貨店、ドラッグストア、専門食品小売店(八百屋、魚屋、精肉店等)、100円ショップやホームセンターでも食料品が購入できます。日々のちょっとしたお買い物は近所のコンビニで済ませられるほか、年末年始には百貨店の食料品売り場(デパ地下)がクリスマスケーキやおせちを買い求める客でにぎわいます。デパ地下の人気商品には、ほかにも洋菓子や和菓子、惣菜、弁当などがあります。
日本の消費者物価指数(CPI)は、これまでにない水準で上昇しています。人口減少に伴う農業活動の衰退と食料自給率の低下により、国内の食品産業は圧力にさらされています。さらに、不安定な国際情勢や円安によって状況は一段と深刻化しており、とくに生鮮食品の値上がりが止まりません。
円の価値が下がったことで、飼料穀物や肥料を輸入に頼る農業部門では生産コストが上がっています。食品製造業でも同様に、海外から購入する原材料やエネルギー資源への依存度の高さが原因で費用が高騰しています。結果として消費者への価格転嫁が進み、1世帯当たりの食料品への支出額は、2023年に過去最高を記録しました。
低価格志向の消費者が増えたことで、値ごろ感のあるプライベートブランド(PB)やストアブランド(SB)が売り場の顔となりつつあります。一方で、消費者の購買意欲低下は、有機野菜や有機畜産物といった高価格帯の食品の売上に影響をおよぼすと考えられています。小売大手イオンは2024年3月、プライベートブランド「トップバリュ」の品目数が全体の約5割に達する小型スーパーを横浜市に開業し、注目を集めています。物価高により節約志向が強まるなか、安価な商品を求める消費者の声に応えるのが狙いとみられています。
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