報道自由度ランキング 日本は70位 順位2つ下げる
国際NGOの国境なき記者団(RSF、Reporters Sans Frontières)は、2024年5月に「報道自由度ランキング2024」を発表しました。パリに本部を置くRSFは、「メディアの独立性を保証・尊重する意識が憂慮すべきレベルにまで低下し、国家またはその他の政治関係者からの圧力が増加した」と指摘しています。事実、報道の自由度の評価に用いられる5つの指標のうち、「政治的背景」の世界平均スコアは7.6ポイント下がり、下落幅が最大となりました。
調査対象となった180の国と地域のうち138か国・地域では、回答者の大半が「自国の政治関係者はディスインフォメーション(偽情報)またはプロパガンダキャンペーンに関与している」と答えています。そのうち、「組織的」な関与が疑われる国は31か国・地域におよびました。
また、RSFは、2023年10月にはじまったハマスによるイスラエルへの越境攻撃とイスラエル軍によるガザ侵攻を例に挙げ、ジャーナリストの保護を強化するための国際レベルでの政治的意思の欠如について強調しています。報告書によれば、ガザ地区ですでに100人以上のパレスチナ人記者が死亡したとされ、そのうち少なくとも22人は業務中に殺害されたとみられます。
報道の自由の状況は、36か国で「非常に劣悪」、49か国で「劣悪」、50か国で「問題あり」だった一方で、「非常に良好」または「良好」は合わせて45か国にとどまりました。8年連続で1位となったのはノルウェーで、2位はデンマーク、3位はスウェーデンと、北欧諸国が上位を独占する形となりました。報道の自由度ワースト3は、アフガニスタン(178位)、シリア(179位)、エリトリア(180位)です。RSFは、「シリアとエリトリアはメディアにとって無法地帯となっており、記録的な数のジャーナリストが拘束され、行方不明になり、人質に取られている」と報告しています。
日本は、前年から2つ順位を落として70位でした。日本の状況については、「議会制民主主義で、報道の自由と多元主義の原則が尊重されている」としたものの、「伝統、経済的利益、政治的圧力、男女不平等によって、ジャーナリストは政府を監視する役割をしっかりと果たせていない」と評価しています。
国境なき記者団は、2002年から毎年「報道自由度ランキング」を公表しています。2021年には、メディアの専門家や研究者から成る有識者委員会の協力を得て、新しい評価基準を策定しました。2024年のランキングは、「政治的背景」「経済的背景」「社会文化的背景」「法的枠組み」「安全性」の5つの指標に基づき、評価が行われました。