【Statista x Booking.com】宿泊業界の最新動向 日本版
StatistaとBooking.comは、日本の宿泊業界に関するデータをまとめた最新の共同レポートを2024年2月12日(月曜日)にリリースいたしました。旅行需要の回復や、短期滞在用宿泊施設(STR)とホテルの業績比較、日本のホテル経営者が抱える課題についてご覧ください。
旅行需要に回復の兆し
2023年は日本でも旅行・観光事業が復活した年となりました。エネルギーコストや競争の激化など、新たな課題はあるものの、日本のホテル経営者は外国人観光客の招致による事業急拡大の可能性を見据え、デジタル改革に乗り出しています。
旅行者数回復により、活気が戻りつつある日本の宿泊業界
国内観光事業の大幅な回復を受け、2023年の国内旅行者数は2019年を上回ると予想されています。本レポートでは国内観光事業の景況感についてまとめています。
日本の宿泊施設提供者の5人に3人が、直近6か月間でのビジネス成長が著しい、または非常に顕著と回答。一方、ビジネスの成長を感じていないと回答した宿泊施設提供者はわずか10人に1人でした。稼働率や平均客室単価が上がったとする回答は、そうではないという回答の約4倍となっています。回復傾向が続く中、54%の日本の宿泊施設提供者が今後6か月のビジネスの成長に前向きな見通しを持っています。
また日本のホテル経営者は外国人旅行者の回帰を強く希望しており、さらなる事業拡大を見込んでいます。しかし、中国からの入国制限解除の遅れが要因の一つとなり、インバウンド旅行者数は完全には回復していません。2023年中に新型コロナ禍以前の水準に戻ることはないと予測されています。調査に参加したホテル経営者はこうした状況をよく理解しており、83%が外国人旅行者の誘致はビジネスの成長のために最も重要と回答しました。円安によって日本へ旅行しやすくなっている今、外国人旅行者の回帰を望む声はさらに高まっています。
短期滞在用宿泊施設(STR)と比べホテルは業績が良く、その傾向は個人経営もチェーン系も同じ
景況感は全体的に良いものの、事業形態によって注目すべき格差が見られます。
直近6か月間で、ホテルの稼働率や平均客室単価は、短期滞在用宿泊施設(STR)と比較して著しく増加しました(稼働率は9ポイント、平均客室単価は19ポイント リード)。その結果、3分の2近くのホテル経営者が直近6か月間でのビジネスの拡大を感じている一方で、同様の回答をしたSTR経営者は半数以下でした。また、STR経営者はホテル経営者よりも資金調達の難しさに直面しています。
さらに両者の間で、今後の事業の肯定的な見通しに関して11ポイントの差が生じています(ホテルが56%に対してSTRは45%)。今年の旅行業界の回復基調をより明確に反映したのは、ホテル業界だったことが分かります。
「宿泊業界の最新動向 欧州版」では、個人経営の宿泊施設がチェーン系宿泊施設に押されつつあるという傾向が明らかになりましたが、対照的に日本では個人経営がチェーン系と肩を並べ、さらにチェーン系よりも良い業績である場合もあることが分かりました。旅館文化が根付き、カプセルホテル発祥の地である日本では、個人経営の宿泊施設が競争力を持ち続けられる土壌があるようです。
最大の課題はエネルギーコストと税金
世界的な物価高騰とエネルギーコストの値上がりを背景に、経済的苦境が日本のホテル経営者にとって最大の頭痛の種となっています。ホテル経営者の4分の3がエネルギーコストと税金を大きな課題として捉えています。
ここでもまた、短期滞在用宿泊施設の経営者(STR)はホテル経営者と比較して、さらなる競争圧力を感じています。STR経営者の72%が資本および融資調達を課題としている一方、同じ見解を示したホテル経営者は48%でした。
しかし両者ともに外国人旅行者の誘致を今後数か月間における最大のビジネスチャンスとして挙げています。興味深いことに、83%ものSTR経営者が国内旅行者の誘致にも同等に力を入れると回答したのに対し、同様の回答をしたホテル経営者は70%でした。 Z世代の誘致の重要性はホテル経営者の間で高く(63%)、STR経営者の間ではそれほどではありませんでした(54%)。
本レポートでは、日本の宿泊業界の現状と課題をデータを基に詳しく分析しています。以下のリンク先でダウンロードしてご確認ください。
https://www.statista.com/study/146897/japanese-accommodation-barometer-2023/