世界の富は集中 ほかの地域では50億人が貧しく
国際NGOのオックスファム(Oxfam)は、世界の財政界のエリートが一堂に会する世界経済フォーラムの年次総会、通称ダボス会議に合わせて、「不平等有限会社(Inequality Inc.)」と題した報告書を公開しました。同報告書によると、2020年以降、世界で最も裕福な5人の総資産が4,050億米ドルから2倍以上の8,690億米ドルに膨らんだ一方で、世界人口の半数以上に当たる約50億人はより貧しくなったとされます。
グラフが示すように、グローバル・ノース(主に北半球に偏在する、資本主義やグローバル化の恩恵を受けて発展を遂げた先進国)の人口は世界人口のわずか20パーセントに過ぎません。にもかかわらず、世界の個人資産の約70パーセントや、世界のビリオネア(億万長者)が所有する資産の74パーセントが同地域に集中しています。ビリオネアとは、保有資産が10億米ドルまたは10億ユーロを超える人を指します。
報告書は、世界の大企業10社のうち7社の経営者または大株主がビリオネアだと指摘しています。オックスファムのアナリストは、巨大企業も勝ち組だとし、「世界の最大手企業は、2021年および2022年に利益が89パーセント跳ね上がった。最新のデータによると、2023年は過去最高益を更新するとみられており、利益の82パーセントは株主に対して支払われた。株主は、どの国でも富裕層の場合が多い」と述べています。
経済誌フォーブス(Forbes)によると、2023年時点で世界で最も裕福な5人は、高級ブランドLVMHのベルナール・アルノー(Bernard Arnault)会長、アマゾン(Amazon)創業者のジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)氏、有名投資家のウォーレン・バフェット(Warren Buffet)氏、オラクルの共同創業者ラリー・エリソン(Larry Ellison)氏、テスラ(Tesla)のイーロン・マスク(Elon Musk)CEOでした。