各国におけるAI(人工知能)の信頼度

人口知能(AI)は、すでに何年も前からさまざまな形で人びとの生活の一部となっています。しかし、AIの基礎となる技術が一般大衆にとってより身近な存在になったのは、オープンAI(Open AI)が運営するチャットGPT(ChatGPT)のユーザー数急増や、それに伴う対話型・生成型AIモデル開発の急速な進歩によるところが大きいでしょう。最新の大規模言語モデル(LLM)は、事前に訓練された大規模コーパスに基づいて、文中で最もふさわしい次の単語を推測することができます。一方で、テック業界の一部のCEOや研究者、AIの専門家たちは、OpenAIが開発した大規模言語モデルよりも高性能なモデルの訓練と開発を一時停止するよう業界に求めています。
Open AIのGPT-4は、有料プランであるチャットGPTプラス(ChatGPT Plus)の利用者限定で提供されています。また、2023年3月には、マイクロソフト(Microsoft)のセキュリティソフトにチャットGPTを統合した「マイクロソフト Security Pilot(セキュリティパイロット)」や業務効率化ツールに対応させた「マイクロソフト 365 Copilot(コパイロット)」が発表されました。
イーロン・マスク(Elon Musk)氏やスタビリティ―AI(Stability AI)の創設者兼CEOであるエマド・モスターク(Emad Mostaque)氏といった影響力をもつ著名人が署名した公開書簡には、「強力なAIシステムは、その効果が有益で、そのリスクが管理可能であると確信できる場合にのみ開発されるべきである」と記されています。この書簡は、マサチューセッツ工科大学(MIT)のマックス・テグマーク(Max Tegmark)教授やスカイプ(Skype)の共同創設者であるヤーン・タリン(Jaan Tallinn)氏らが2014年に設立した非営利団体「Future of Life Institute」によって発表されました。なお、同団体は、主にマスク財団(Musk Foundation)から資金提供を受けています。
会計大手KPMGオーストラリアと豪・クイーンズランド大学が実施した調査によると、インド、中国、南アフリカ、ブラジルといった有力新興国の国民は、AIシステムの継続的な導入に概ね肯定的な意見をもっていることがわかっています。2022年9月から10月にかけて実施された調査では、インド人の75パーセント、中国人の67パーセント、南アフリカ人の57パーセントが「AIに信頼を置いている」と回答したことが判明しました。付随調査によると、回答者が最も信頼できると回答したのは、ヘルスケアとセキュリティの分野で使用されるAIであったとみられています。