金融サービス

NFTの隆盛と今後の展望

2023年02月10日 | 発行元 Statista Japan
サングラスをかけた100ドル札のベンジャミン・フランクリンが描かれたNFT(非代替性トークン)。
gesrey via Getty Images
  • 政府や中央銀行などを通さないことを目玉とするデジタル通貨や非代替性トークン(Non-Fungible Token、NFT)を規制する動きは進んでおり、米国ではほとんどの州でデジタル資産と仮想通貨に関する規制が提案・制定されています。
  • 日本の現行法では仮想空間における商標権や意匠権などの扱いが曖昧であり企業に対してのリスクになっているため、政府は11月21日に官民連携会議を立ち上げるなど仮想空間における知的財産権保護に向けた法整備の検討を始めています。
  • NFTの活用例として、日本では三井住友フィナンシャルグループがハッシュポートと共同で、NFTを利用した本人確認や活動実績などを証明する実験に乗り出すことを発表しています。

デジタルアート作品、写真、トレーディングカード、音楽、オンラインゲームなど、多岐にわたるデジタルコンテンツを網羅するNFTは、2021年の流行語として話題となりました。しかし、2022年の後半にはEthereum(イーサリアム)上のNFTの市場規模は2021年よりもはるかに縮小しました。

2021年3月にBeeple(ビープル)のクリプトアート作品「First 5000 Days」が史上最高値の6,900万米ドルで販売された時にNFTは注目を集めましたが、デジタルトークンは特段新しい技術ではありませんでした。というのも、2017年には既に、猫の写真をランダムに生成する「CryptoKitties」の販売が行われていたからです。今後NFTはどのような役割を果たし、どの業界に革新をもたらすのでしょうか?

Statistaによるこのインフォグラフィックは、2021年にNFTユーザーが最も多く居住していた国を示したものです。
NFTユーザーが多い国 Source: statista.com

NFTの仕組み:インターネット上での希少価値の創造

NFTとは、デジタル資産を一点もので代替不可能なものとして認証するデジタル証明書(トークン)のことです。このトークンは仮想通貨と同じ技術であるブロックチェーンで作成され、販売されます。トークンは偽造を防ぐための追跡機能を備えており、ブロックチェーンのプラットフォームとして最も人気なのはイーサリアムです。

NFTはとある音楽や画像ファイルが幾つ存在しても、オリジナルのファイルは1つしかないことを証明します。つまり、NFTを購入するということは、そのファイルの所有権を購入することとなります。バスケットボールのハイライト動画を題材にしたNBA Top Shotsは、ファイルによって希少価値がことなるという、トレーディングカードゲームと似たようなメカニズムを導入しています。また、米国のロックバンドKings of Leonは2021年にアルバムにNFTを紐づけ、写真などの特典を追加することで、約20億米ドルの収益を上げました。NFTはDecentralized Finance(DeFi)やメタバースを基盤としたWeb3として機能するものとなります。NFTの取引額は2020年には3億3,804万米ドルでしたが、2021年には113億米ドルにまで急増しました。 

その一方、各国政府はNFTが詐欺や脱税、マネーロンダリングに使われることを警戒しており、規制を検討しています。実際、米国の殆どの州では、デジタル資産と仮想通貨に関する規制が提案または制定されています。日本でも現行法では仮想空間における商標権や意匠権などの扱いが曖昧であるため、政府は法整備の検討を進めています。そんな中、民間におけるNFTの活用検討は進んでおり、例えば三井住友フィナンシャルグループはハッシュポートと共同で、NFTを利用した本人確認や活動実績などを証明する実験に乗り出すことを発表しています。

NFTはデジタル革命か、チューリップ・バブルの再来か

2021年にNFTの価格が急騰した際には多く投資家の注目を集めましたが、2022年末には価格が急落しました。2022年10月のイーサリアムブロックチェーン上のNFTの1日取引額は、同年1月に比べて6分の1程度でした。アナリストはこの急落をテラ(LUNA)の破綻とマクロ経済の変化によるものとしています。NFTを売買したユニークウォレット数で見ても、2022年第二四半期から第三四半期にかけて、ユーザー数は17%以上減少しましたが、市場関係者はこの限られた減少度は市場が安定している証拠だとしています。

NFTに携わる企業も目まぐるしく変わっており、2022年には新興企業がOpenSeaの市場シェアを奪ったほか、ディズニー、マスターカード、スターバックスなどの大手ブランドが独自のNFTを作成しました。また、2021年にはナイキやアディダスなどのNFTが米国で注目を集めました。 

Statistaによるこのインフォグラフィックは、このグラフは、一部のラグジュアリー/コレクティブルブランドのNFTによる売上を示したものです(単位:米ドル)。
ハイブランドによる高級NFTの販売 Source: statista.com

Statistaは、記載された情報の完全性および正確性に関して一切の責任を負いません。このページに掲載されているのは一般的な情報であり、statista.comのコンテンツを翻訳し、作成したものです。和訳版と原文(英語)に差異が発生した場合には、原文が優先します。更新頻度が異なるため、本ページで紹介したデータよりも新しいデータがstatista.com上に表示される場合があります。データの二次利用権に関しては、FAQの該当項目をご覧ください。


タグ
金融・保険 投資 金融サービス
シェア

統計情報

グローバルなデータベースで統計とインサイトを検索


金融サービス

関連インサイト

無料トライアル

世界有数のデータプラットフォームを今すぐ無料でお試しください

詳しくはこちら
お問い合わせ

東京チームがあなたをサポートします

Statistaにご関心をいただき有難うございます。ライブデモのご要望、製品の内容、アカウントの種類や契約に関する詳細など、どうぞお気軽にお問い合わせください。日本語と英語での対応が可能です。

  • お見積もり、資料請求、その他ビジネスに関するお問い合わせ:sales.japan@statista.com
  • ログイン関連、パスワードのリセット、請求書などに関する一般的なお問い合わせ:asia.support@statista.com

水野 希更

スタティスタ・ジャパン株式会社

sales.japan@statista.com

月〜金 10:00〜18:00(日本時間)