デジタルアート作品、写真、トレーディングカード、音楽、オンラインゲームなど、多岐にわたるデジタルコンテンツを網羅するNFTは、2021年の流行語として話題となりました。しかし、2022年の後半にはEthereum(イーサリアム)上のNFTの市場規模は2021年よりもはるかに縮小しました。
2021年3月にBeeple(ビープル)のクリプトアート作品「First 5000 Days」が史上最高値の6,900万米ドルで販売された時にNFTは注目を集めましたが、デジタルトークンは特段新しい技術ではありませんでした。というのも、2017年には既に、猫の写真をランダムに生成する「CryptoKitties」の販売が行われていたからです。今後NFTはどのような役割を果たし、どの業界に革新をもたらすのでしょうか?
NFTの仕組み:インターネット上での希少価値の創造
NFTとは、デジタル資産を一点もので代替不可能なものとして認証するデジタル証明書(トークン)のことです。このトークンは仮想通貨と同じ技術であるブロックチェーンで作成され、販売されます。トークンは偽造を防ぐための追跡機能を備えており、ブロックチェーンのプラットフォームとして最も人気なのはイーサリアムです。
NFTはとある音楽や画像ファイルが幾つ存在しても、オリジナルのファイルは1つしかないことを証明します。つまり、NFTを購入するということは、そのファイルの所有権を購入することとなります。バスケットボールのハイライト動画を題材にしたNBA Top Shotsは、ファイルによって希少価値がことなるという、トレーディングカードゲームと似たようなメカニズムを導入しています。また、米国のロックバンドKings of Leonは2021年にアルバムにNFTを紐づけ、写真などの特典を追加することで、約20億米ドルの収益を上げました。NFTはDecentralized Finance(DeFi)やメタバースを基盤としたWeb3として機能するものとなります。NFTの取引額は2020年には3億3,804万米ドルでしたが、2021年には113億米ドルにまで急増しました。
その一方、各国政府はNFTが詐欺や脱税、マネーロンダリングに使われることを警戒しており、規制を検討しています。実際、米国の殆どの州では、デジタル資産と仮想通貨に関する規制が提案または制定されています。日本でも現行法では仮想空間における商標権や意匠権などの扱いが曖昧であるため、政府は法整備の検討を進めています。そんな中、民間におけるNFTの活用検討は進んでおり、例えば三井住友フィナンシャルグループはハッシュポートと共同で、NFTを利用した本人確認や活動実績などを証明する実験に乗り出すことを発表しています。
NFTはデジタル革命か、チューリップ・バブルの再来か
2021年にNFTの価格が急騰した際には多く投資家の注目を集めましたが、2022年末には価格が急落しました。2022年10月のイーサリアムブロックチェーン上のNFTの1日取引額は、同年1月に比べて6分の1程度でした。アナリストはこの急落をテラ(LUNA)の破綻とマクロ経済の変化によるものとしています。NFTを売買したユニークウォレット数で見ても、2022年第二四半期から第三四半期にかけて、ユーザー数は17%以上減少しましたが、市場関係者はこの限られた減少度は市場が安定している証拠だとしています。
NFTに携わる企業も目まぐるしく変わっており、2022年には新興企業がOpenSeaの市場シェアを奪ったほか、ディズニー、マスターカード、スターバックスなどの大手ブランドが独自のNFTを作成しました。また、2021年にはナイキやアディダスなどのNFTが米国で注目を集めました。
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