マイホームは、多くの人にとって成功と繁栄の象徴であり、「安全・安心に暮らせる住環境の確保」と「長期投資」という2つの側面があります。しかし世界の住宅需要は、インフレ率の高騰と借入コストの上昇を背景に落ち込んでいます。
2008年の世界金融危機後、先進国を中心に多くの国々で住宅価格が高騰しました。不動産価格の上昇は、それから10年以上続いており、コロナ禍の住宅ブームで最高潮に達しました。一方、深刻化する住宅不足や世界的なインフレ、住宅ローン金利の高騰により、住宅需要は冷え込んでいます。
需要の減速は、新築住宅の着工件数からも明らかです。2024年3月の米国の一戸建て住宅の着工件数は、前月比で14.7パーセント減少し、すべての市場予想を下回りました。さらに、住宅建設許可件数も4.3パーセント減となるなど、住宅市場の回復は、踊り場に到達した可能性が指摘されています。
世界最大の住宅市場と地域格差
世界最大の住宅市場は、米国、中国、インド、ドイツ、日本となっています。2023年の中国の住宅不動産の成約価格は、約2.7兆米ドルにのぼると推定されており、2028年には約3.9兆米ドルに増加し、米国を大きく上回ると予測されています。
不動産価格は国によって異なりますが、都市部と地方でも大きな差があります。米国は、紛れもなく世界一競争が激しい市場のひとつですが、主要都市圏の既存戸建て住宅価格の中央値は、米国全体の倍以上となっています。
首都は、一般的に住宅価格が最も高いとされます。しかしインドでは、首都ニューデリーに次いで2番目に人口の多いムンバイの住宅用不動産価格が、2023年時点で国内最高です。ムンバイの住宅価格は、インドで2番目に高額な都市であるベンガルールに比べて、1平方フィート当たり約2千ルピー高いことがわかっています。なおニューデリーは、住宅価格ランキングの上位3位にすら入っていません。
世界の住宅市場の見通し
住宅不動産成約価格が世界で最も高い20か国中では、トルコ、ロシア、メキシコの住宅市場が2028年までに最も大きく成長する見通しです。欧州では2022年以降、住宅建設への投資と開発の見通しが悪化しており、完成住宅件数が減り、手頃な価格の住宅供給に影響が及ぶことが危惧されています。一方、建設業にとって大きな課題のひとつである建設費用は、2024年も世界中で上昇が続くと予想されています。銀行融資の金利(利息額)や住宅ローン金利の動きも、住宅市場の今後を左右するとみられています。
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