世界の経営コンサルティング業界は、ここ数年で急速に規模が拡大しており、地域別では北米と欧州が世界最大の市場です。同業界の世界市場規模は2020年から2022年にかけて高成長を遂げ、1兆米ドルを突破しています。経営管理および事業開発の戦略的なノウハウや、特定の業界に関する専門知識をもった外部コンサルタントを必要とする企業は、決して少なくありません。2023年時点では、コンサル1人当たりの平均売上高は、21万2千米ドルに達しています。経営コンサルティングの専門分野は多くの場合、サービスライン（業務領域）ごとに「金融部門」と「経営・事業戦略部門」に分かれています。政府機関の信頼を得ている一部の戦略コンサルティング企業は、公共サービスのアウトソーシングの一環として、官公庁や公的機関が抱える課題の解決を支援します。
北米のコンサルティング市場
北米地域の中でも特に米国は、世界最大の売上を誇るコンサルティング・サービス市場です。米国における経営コンサルティング業界の市場規模は、2022年時点で約3,297億米ドルに達しており、有名な大手コンサルティングファームが本社を米国に置いているのは、ある意味当然と言えるでしょう。日本でもおなじみのデロイト・トーマツ（Deloitte Tomatsu）、アーンスト アンド ヤング（Ernst & Young）、プライスウォーターハウスクーパース（PricewaterhouseCoopers、PWC）、KPMGの4社は、近年ではコンサルティング業界のBIG4と呼ばれます。BIG4の収益は年々増加しており、世界中の事務所で何十万人もの経営コンサルタントを雇用しています。
とはいえ、一部の大手コンサルティング企業では、マクロ経済の動向に伴って雇用状況に変化が生じています。2023年に1,400人の解雇に踏み切った大手戦略コンサルティング会社のマッキンゼー アンド カンパニー（McKinsey & Company）は2024年初め、英国のスタッフに9か月分の給料に相当する解決金を提示し、退職勧奨を行ったと報じられています。マッキンゼーの従業員数は全世界で約4万5千人にのぼり、2018年の約2万8千人から約60パーセント増えています。2023年には創業以来最大規模の事業構造改革を断行したにもかかわらず、離職率が低かったことから、退職勧奨に踏み切ったとみられています。
コンサルティング業界のこれから
ハイクラスな人材を外部からヘッドハンティングする大手エグゼクティブ サーチ ファームで働くコンサルタントの数は、過去数年間で大幅に増加しました。同時に、MBA（経営学修士）またはPhD（博士号）を取得したコンサルタントの平均初任給も大きく上昇しています。経営コンサルティング業者の数に加えて、コンサルタントの数、給与額、市場価値は、すべて上昇傾向にあるため、業界はまだピークに達していないとみられています。
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