近年、気候変動がもたらすリスクや課題に対する意識の高まりとともに、投資への考え方が変化しています。ESG投資などの新しい投資基準が生まれたことで、持続可能なグリーンプロジェクト(環境改善事業)関連の金融商品が増え、金融の透明性を確保するためのメカニズムが進展しています。「グリーンファイナンス」と呼ばれるこうした取り組みは、より環境面に配慮したポートフォリオを目指す投資家の注目を集めています。
グリーンファイナンスの一種であるグリーンボンドは、再生可能エネルギー、クリーン輸送、廃棄物・水マネジメントなど、グリーンプロジェクトのための資金調達を目的に発行される固定利付け債です。世界のグリーンボンド発行額は、ここ十年で大幅に増加しており、2022年には約4,900億米ドルに達しています。グリーンボンドは、気候変動のリスクを回避したい投資家にとって、有効な選択肢です。
グリーンボンドで世界の先行くEU
グリーンボンドは、2007年に欧州投資銀行が「気候変動への認知度を高める債券(Climate Awareness Bond)」の名称で発行して以来、世界中の金融市場で需要が急拡大しました。グリーンボンドは、大半が先進国で取引されており、主要な発行主体は欧州諸国で、累計発行額は1兆米ドルに達します。経済の仕組みを変え、エネルギー効率を改善し、温室効果ガス排出を削減することを定めた持続可能な環境改善計画が世界規模で進んだことにより、グリーンボンドの普及は加速しました。欧州諸国、とりわけ「次世代のEU」基金計画を打ち出したEU(欧州連合)では、グリーン化政策が他国より急ピッチで進められています。とはいえ、国単位でみると、2022年時点では中国と米国のグリーンボンド発行数が世界最多となっています。
グリーンボンドの発行主体
グリーンボンドは、通常の債券と同様に、さまざまな主体により発行されます。通常の債券と比較したメリットとしては、ESG投資のための資金を低コストで調達できることや、税制上の優遇措置を受けられることが挙げられます。また、発行体の社会的評価が向上し、投資家の間で認知度が高まるのも大きな利点です。各国の政府や自治体は、野心的な脱炭素目標の達成に要する資金の調達に、グリーンボンドを活用しています。2021年時点では、英国のソブリン・グリーンボンドの発行額が世界最多となっており、その額は130億米ドル以上にのぼります。
グリーンボンドを発行できるのは、もちろん国や自治体だけではありません。2024年2月、東京地下鉄株式会社(東京メトロ)は、気候変動問題に関する取り組みを強化する目的で、同年3月に東京メトロ初のグリーンボンドを発行すると発表しました。調達資金は、鉄道事業で消費される電力の発電時に発生するCO2排出量の削減などの対策に充てられるとのことです。
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