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拡大するBuy Now, Pay Later(BNPL)市場の動向と今後の見通し

2023年06月9日 | 発行元 Statista Japan
BNPL(後払い決済)のイメージ画像。
ArtemisDiana via Getty Images
  • Apple(アップル)は、2023年3月に BNPL(後払い決済)サービス「Apple Pay Later(アップルペイで後払い)」を米国で導入しました。これにより、iPhone(アイフォーン)の利用者はApple Payによる支払いを、6週間で4回の分割払いで返済できるようになるとみられています。 
  • ネットショップ作成サービス「BASE」と購入者向けショッピングサービス「Pay ID(ペイ アイディー)を手掛けるBASE株式会社は、2023年4月から後払い決済事業に参入し、BASEを利用するネットショップを対象にサービスの提供を開始すると発表しました。 
  • 英国政府は2023年2月、BNPL業者を規制する法律の草案を公表しました。利用者の返済能力が十分審査されていない現状が消費者に損害を与える可能性があるとして、法規制に動いた形となります。 

米国の決済代行企業Paypal(ペイパル)が手がける「Pay in 4」やスウェーデン発のKlarna(クラーナ)、Afterpay(アフターペイ)、Quadpay(クアドペイ)といったBNPL(Buy Now Pay Later、「今買って、後で支払う」の略)と呼ばれる後払い決済サービスは、EC(E-Commerce、電子商取引)サイトを中心に世界中で利用者が増加しています。最近では、2023年3月、Apple(アップル)が後払い決済サービス「Apple Pay Later(アップルペイで後払い)」を米国で導入しました。これによりiPhone(アイフォーン)利用者は、Apple Payによる支払いを6週間で4回の分割払いで返済できるようになるとみられています。 

2020年初めに英国で行われたロックダウン(都市封鎖)の際には、英国の消費者の3人に1人がこの決済方法を以前よりも頻繁に利用していたことが分かっています。後払い決済アプリが提供しているのは、消費者が購入金額の一部を頭金として支払うことで、残高を分割して無利子で返済することができるサービスです。 

世界20カ国以上のEC市場における後払い決済サービスの普及率を比較すると、大きな違いがあるのが見てとれます。後払い決済サービスは、北欧および西欧諸国で人気ですが、オーストラリアやニュージーランドでも一定数の利用者が存在します。両国には、オーストラリア発のAfterpayやZip(ジップ)といった後払いアプリを利用するアクティブユーザーが数百万人存在するとみられています。 

コロナ禍で欧米を中心に利用が拡大しているBNPL事業ですが、日本での普及率は欧米に比べて低いのが現状です。そんな中、ネットショップ作成サービス「BASE」と購入者向けショッピングサービス「Pay ID(ペイ アイディー)を手掛けるBASE株式会社は、2023年4月から後払い決済事業に参入し、BASEを利用するショップを対象にサービスを提供すると発表しました。決済手段を多様化することで、購入者とショップ双方のニーズに寄り添う目的があるとみられています。 

Statistaでは、2022年10月に後払い決済サービス(BNPL)に関するオンラインセミナー「Economic uncertainty and Buy Now, Pay Later」を開催しました。ウェビナーで紹介したプレゼンテーションは、別のページでご覧いただけます。 

このインフォグラフィックは、BNPL(後払い決済サービス)を利用する米国人の割合を世代別に示したものです。
Source: statista.com

後払い決済の特徴 

後払い決済サービスは比較的新しいことから、このサービスを利用者がどのように活用しているかを示すデータはまだ多く存在しません。しかし、たとえば英国では若い世代のほうが年配の世代よりも後払い決済サービスを利用する傾向が強いことが判明しています。この傾向は米国でも同様ですが、米国では年配世代のユーザーが後払い決済アプリを利用する頻度が以前に比べて高くなったとされます。つまり、KlarnaやAfterpayのような後払い決済アプリのユーザーは、X世代(1960年代半ばから1970年代後半に生まれた世代)やミレニアル世代(1980年から1990年代半ばに生まれた世代)に限らないため、後払い決済は衣料品のみならず、より高額な商品の購入にも利用されていると思われます。この傾向は欧州においても同じで、ポーランドでは、パソコンやテレビなどの電化製品の支払い方法を分割払いにする人が、コロナ禍で増加したと考えられています。 

2022年のインフレと後払い決済の関連性 

記録的なインフレと日用必需品の価格高騰により、ネットで買い物をする際の支払い方法を変更する消費者が増えています。たとえば、南米チリでこの傾向が強くなっており、後払い決済サービスもその影響を受けているとみられます。また、米国の消費者は2022年2月に行われた調査で、後払い決済サービスの利用頻度が以前より多くなった理由に物価の高騰を挙げています。一部の国でみられる傾向としては、生活費高騰で現金に困った人が実店舗での買い物、特に食料品の購入に後払い決済サービスを利用して借金を重ねるケースが増えていることが挙げられます。このような事態を重くみた英国政府は、2023年2月、後払い決済サービス業者を規制する法律の草案を公表しました。利用者の返済能力が十分審査されていないBNPLの利用状況が消費者に損害を与える可能性があるとして規制に動いた形となります。 


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