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デジタルウォレットの躍進とスーパーアプリ化が進むモバイル決済市場

2023年6月22日 | 発行元 Statista Japan
飲食店でモバイル決済で会計を済ませる女性と店員。
Dejan_Dundjerski via Getty Images
  • 2023年2月から3月にかけて行われた調査によると、日本人が最も頻繁に使用している非接触型(コンタクトレス)決済サービスは、モバイル決済ではなく、クレジットカードであるということがわかりました。約68.2パーセントが普段の支払い方法としてクレジットカードを使用していると答えています。  
  • 米通貨監査局(OCC)で長官代理を務めるMichael Hsu(マイケル・スー)氏は2023年4月、銀行の顧客が口座やほかの金融機関の情報にアプリなどを介して簡単にアクセスできるようにするシステムである「オープンバンキング」が、銀行預金の流動性リスクにつながると指摘しました。 
  • テック企業家のElon Musk(イーロン・マスク)氏は2023年4月、Twitter(ツイッター)のスーパーアプリ化に言及して大きな反響を呼びました。同氏の目的は、「X」と呼ばれる、決済機能など、さまざまな機能を備えたスーパーアプリの開発であると考えられています。 

モバイル決済とは、スマートフォンやウェアラブル端末などのモバイル端末を介したデジタル決済手段のことを指します。モバイル決済は、モバイルウォレットや店頭決済と関連した文脈で語られることが多く、スマートフォンを決済端末にかざす支払い方法で広く知られています。なお、モバイルコマース(Mコマース)、モバイルマネー、即時決済システムであるインドのUPI(統合決済インターフェース)や、ブラジルのPix(ピックス)などはモバイル決済には含まれません。 

世界的に普及しているモバイル決済手段としては、米国のPaypal(ペイパル)やApple Pay(アップルペイ)、中国のAlipay(アリペイ)といったデジタルウォレットが挙げられますが、ほかにも数多くのモバイルウォレットが市場に出回っています。2022年時点では、全世界のEコマース(電子商取引)での支払いの約半数がモバイルウォレットによるものでした。しかし、地域によってそれぞれのデジタルウォレットの市場規模は大きく異なります。ある推計によると、世界全体で使用されているモバイルウォレット約28億個のうち、ほぼ半数がアジア・太平洋地域で使用されているとされ、中国、インド、東南アジア諸国での普及率の高さが背景にあるとみられています。北米・欧州地域では、モバイル決済は「現金とカードを除くすべての決済方法」を指す「代替決済」と同じ文脈で語られることが増えています。なお、北米、欧州、日本、韓国では、クレジットカードの使用率が高いことから、こうした地域においてモバイルウォレットが既存のカードネットワークと競争関係になることが懸念されます。 

2023年2月から3月にかけて行われた調査では、日本で最も利用されている非接触型(コンタクトレス)決済サービスが、モバイル決済ではなく、クレジットカードであることが判明しました。回答者の約68.2パーセントが普段の支払い方法としてクレジットカードを使用していると答えています。一方、同調査では、およそ37パーセントがバーコード・QRコード決済を普段利用していると答えたことがわかっています。 

シームレスな購買体験を求める声

2023年時点では、ほぼリアルタイムの購買体験を実現する「フリクションレス決済」が、Eコマース分野において最も多くの人が開発に期待を寄せていた技術革新の一つでした。シームレスな体験を求める消費者の声は、オープンバンキングやBaaS(Banking as a Service、サービスとしてのバンキング)の分野でも同様にみられます。2023年に行われた調査によると、英国の消費者は、オープンバンキングによって取引速度が向上し、プロセスが簡素化されることを期待しています。 

オープンバンキングとは、利用者が自ら選択したサードパーティーのアプリやサービスに金融機関の口座情報を共有できる仕組みのことですが、米通貨監査局(OCC)で長官代理を務めるMichael Hsu(マイケル・スー)氏は2023年4月、オープンバンキングが銀行預金の流動性リスクにつながると指摘しました。Hsu氏は、個人がデータを自由に移動させることができるデータポータビリティの利点を認めたうえで、その利便性が預金の流出につながる恐れがあると述べています。 

なお、2023年時点で消費者向けの即時決済システムが最も普及していた5か国中4か国は、アジア太平洋地域の国でした。北米や欧州地域でも同様のシステムが開発されていますが、銀行間決済向けが主流でした。 

このインフォグラフィックは、決済手段全体に占める現金による支払いの割合を示したものです。
Source: statista.com

スーパーアプリの世界的拡大

アジア太平洋地域でモバイルウォレットの浸透率が高い理由としては、それを主なデジタル決済手段として使用する人が多いことが挙げられます。また東南アジア地域では、インドネシアのテック企業GoTo(ゴートゥー)のような「スーパーアプリ」が、ウォレットの機能を内包していることが多いのが特徴です。スーパーアプリとは、複数のサービスを組み合わせることにより、オンライン・オフラインを問わず一貫した顧客体験を提供するエコシステムを形成するアプリのことです。例えば前述のGoToは、決済サービスのほかにも配車・配送サービスを展開しています。2023年4月には、企業家のElon Musk(イーロン・マスク)氏がTwitter(ツイッター)のスーパーアプリ化に言及して大きな反響を呼びました。同氏の目的は、「X」と呼ばれる、決済機能など、さまざまな機能を備えたスーパーアプリの開発であると考えられています。 

2023年時点では、世界でスーパーアプリ化が進むことに懐疑的な意見も一部存在します。たとえば、中南米地域のAmazon(アマゾン)と呼ばれるメキシコのMercadoPago(メルカドパゴ)やRappi(ラッピ)といったモバイルウォレットアプリは、2025年まで安定した成長を続けると見込まれています。しかし、MercadoPagoはEコマースに特化した企業であり、アジアのスーパーアプリのようなサービスは付属しておらず、オフラインでのキャンペーンにも力を入れていません。 


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