個人や企業は、保険を契約することによってさまざまな経済的リスク(死亡、病気やケガ、損害、損失など)に備えることができます。一方で保険会社は、保険の対象となる人やモノのリスクを評価し、その評価をベースとした保険証券を顧客に発行します。保険契約とは、保険会社と保険契約者の間で結ばれる法的な契約のことです。
2022年の世界の保険市場規模は、6兆米ドル近くに達しましたが、今後数年でその規模は大幅に拡大すると予測されています。
一国の保険業界がどれほど発達しているかを示す指標には保険普及率がありますが、その数値は国内総生産(GDP)に対する年間収入保険料の合計の比率で求められます。欧州の大半の国では、2020年の保険普及率が10パーセントを下回る結果となっています。収入保険料(Premiums written)は、保険会社の主な収入源であり、保険会社が保険による補償を提供する対価として顧客から受け取った金額の合計を表します。
2023年5月には、日本の主要な生命保険会社16社の2023年3月期決算が発表されました。生命保険会社の基礎的な期間収益の状況を表す指標である「基礎利益」は、16社でおよそ2兆9千億円とみられ、前期比で30パーセント弱の減少と考えられています。減益の主な要因としては、新型コロナウイルス感染者に支払われる入院給付金などが挙げられています。
主な保険の種類
保険には大きく分けて、生命保険と損害保険の2つの種類が存在します。2021年には、米国の保険市場における生命保険と損害保険の元受保険料の合計が世界最大となりました。生命保険の加入者は、保険会社に保険料を支払うことで契約を継続でき、加入者が死亡すると、保険会社は指定された受け取り人に一時金を支払います。
一方で損害保険は、顧客に偶然生じた損害や損失をカバーするための保険金が支払われます。損害保険には、自動車・バイク保険、賠償責任保険、家財保険、傷害保険などがあります。
国土交通省は2023年4月、自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の保険料を改定し、交通事故の被害者支援や事故防止対策に充てられる賦課金を拡充しました。 新たな賦課金の額は、年間1台あたり平均で約125円となり、主に自賠責保険・共済に加入していない無保険車による事故や、ひき逃げの被害者補償に充てられるとみられています。
世界の保険会社ランキング
2023年3月時点では、時価総額ベースで世界最大の保険会社は米国のUnitedHealth Group(ユナイテッド ヘルス グループ)でした。なお、UnitedHealthに関する詳しい情報は、こちらのレポートでご覧いただけます。2021年、米国のBerkshire Hathaway(バークシャー・ハザウェイ)の売上高は約2,800億米ドルに達し、世界の主要な保険会社の売上高ランキングで第1位となりました。
2023年5月、Berkshire Hathawayが2023年1月~3月期にカード発行会社Capital One(キャピタル・ワン・ファイナンシャル)の株を9億5,400万米ドルで取得していたことが報じられました。米国の著名投資家であるWarren Buffet(ウォーレン・バフェット)氏が率いるBerkshire Hathawayの中核事業は保険業で、生命保険、損害保険、健康保険、再保険などを手がけています。同社の主な投資先としては、Apple(アップル)、Bank of America(バンク・オブ・アメリカ)、Coca Cola(コカ・コーラ)、American Express(アメリカン・エキスプレス)が挙げられます。
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