投資

オープンバンキングの急速な普及拡大の実態

2023年9月27日 | 発行元 Statista Japan
ハイテク、高速、技術的な背景を彷彿とさせる抽象的な形をした矢印。
natrot via Getty Images
  • 2023年8月、スウェーデンのフィンテック企業クラーナ(Klarna)は、自社のオープンバンキング・ブランド「クラーナ・コスマ(Kosma)」のリブランディング計画を発表しました。 
  • 2023年8月に公開されたデータによると、英国における同年7月のオープンバンキング決済件数は、1,100万件を超えたことがわかっています。決済件数は、前月比で9.3パーセント上昇し、前年同月比で102パーセント成長したとみられています。 
  • 2023年6月、国内初のデジタルバンク「みんなの銀行」は、BaaS事業の拡大を目的に、次世代型金融アプリ「レボリュート(Revolut)」と基本合意を締結したと発表しました。 

近年オープンバンキングは、銀行、ノンバンク(非銀行金融仲介機関)、そしてTPP(サードパーティプロバイダ)の間で顧客の金融データを安全に共有する手段として、金融業界に革命をもたらしました。2023年には、世界のオープンバンキング取引額が570億米ドルに達するとみられ、今後数年で急激に成長すると予想されています

安全なデータのやりとりを可能にするAPI(アプリケーション プログラミング インターフェース)のコール数も、数年で大きく上昇するとの見込みです。2027年にはAPIコール数が5,800億回に到達するとの推定もあり、このことは、オープンバンキングが今後広く普及して多様な金融エコシステムへの統合が進むことを示唆しています。オープンバンキングは、特に欧州で絶大な支持を得ており、TPPの数も急増しています。TPPとは、認可を受けた金融サービス事業者のことで、単一パスポート制度により、欧州経済領域(EEA)における自由な営業活動が保証されています。 

なお、スウェーデンのフィンテック企業クラーナ(Klarna)は2023年8月、自社のオープンバンキング・ブランド「クラーナ・コスマ(Kosma)」のリブランディング計画を発表しました。同社は、クラーナ・コスマの事業ブランドを「クラーナ」の企業ブランドに統合するとし、オープンバンキング事業が過去12か月で210パーセント成長したことを理由のひとつに挙げています。 

英国におけるオープンバンキングの取り組み

オープンバンキングの概念は、銀行業界に透明性をもたらすことを目的として、英国で考案されました。以来同国は、オープンバンキング革命の旗振り役として普及に向けた取り組みに力を注いできました。その甲斐あってか、英国ではオープンバンキングの利用者数が増加しており、TPPの数もここ数年で目覚ましい成長を遂げています。2023年第1四半期時点では、英国に本社を置くTPPの数が欧州で最も多く、221社が登録されています。この数字は、市場が急速に拡大していることや、オープンバンキングを利用する顧客が増えていることを示しています。

英国におけるオープンバンキングの普及拡大は、上昇するAPIコール数やAPIを介した決済件数をみても明らかで、2022年には、月次APIコール数が10億回に大きく膨れ上がったことが確認されています。コール数の大きな伸びは、オープンバンキングのインフラストラクチャが広まっていることの現れであり、金融サービスがさまざまなプラットフォームを横断してシームレスに統合されていることを物語っています。 

2023年8月に公開されたデータによると、英国における同年7月のオープンバンキング決済件数は、1,100万件を超えたことがわかっています。決済件数は、前月比で9.3パーセント上昇し、前年同月比で102パーセント成長したとみられています。 

オープンバンキングと BaaS(サービスとしてのバンキング):米国でのAPI使用

金融サービスにおけるAPIの活用例といえば、まずオープンバンキングを思い浮かべるという人が少なくありません。しかし、米国では注目を集めているものの、英国では見過ごされがちなAPIのユースケースが実はもうひとつ存在します。それは、BaaS(サービスとしてのバンキング、Banking as a Service)です。BaaSもオープンバンキングも APIを使用するという共通点はあるものの、重点項目や目的がまるで異なります。

オープンバンキングでは、データの安全な共有やサードパーティによる顧客アカウントへのアクセス実現を軸として、顧客体験(CX)を向上させ、新しいデジタルサービスを開発し、収益を増やすことが目的とされます。一方BaaSでは、APIを活用した銀行向けプラットフォームを開発することに焦点を当て、銀行が金融商品やサービスをサードパーティ企業に提供するためのシステムを構築するのが目的です。フィンテック企業や非金融機関のようなサードパーティ機関は、BaaSの機能を活用して自社アプリケーションにバンキング機能を搭載することで、顧客のニーズに合わせた金融ソリューションを提供できます。 

BaaSの取り組みは日本でもはじまっており、2023年6月、国内初のデジタルバンクである「みんなの銀行」は、BaaS事業の拡大を目的に、次世代型金融アプリ「レボリュート(Revolut)」と基本合意を締結したと発表しました。今回の提携により、両サービスを利用する顧客は、サービスの拡充やチャージ手段の追加といった恩恵を受けられるようになるとみられています。 


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