ビットコイン(BTC)は、仮想通貨(暗号資産)大手取引所FTXの経営破綻を受けて、2022年11月に2年ぶりの安値を付けました。FTXと財務提携を結ぶ仮想通貨融資会社ジェネシス グローバル キャピタル(Genesis Global Capital)の存続が危ぶまれるなか、ビットコインの価格は2022年11月21日に一時1万6,500米ドルを下回りました。2022年下半期まで最大の市場シェアを誇る仮想通貨取引所のひとつであったFTXの倒産による影響は、今後ほかの仮想通貨取引所や関連企業にも波及する恐れがあるとみられています。
米国など各国の中央銀行による利上げペース減速の可能性が複数の経済指標により示唆されていたことから、仮想通貨市場は騒動の数日後には落ち着きを取り戻しました。
測定が難しいビットコインの普及率
ビットコインの普及率を測るには、その取引量を他国の国内通貨と比較する方法がありますが、2つの点に注意しなければなりません。1つ目は、ビットコインはその設計上、トランザクション(取引記録)の出発点まで遡ることはできないということ。2つ目は、ビットコインから米ドルまたは英ポンドへの取引は、総取引量のほんの一部に過ぎないということです。
これらの理由から、ビットコインの取引量に関する数値は、主に消費者を対象とする調査結果を基に推計されます。こうした調査では、「仮想通貨を投資目的で保有しているか」や「仮想通貨を使用しているか」といった質問が用いられます。
Statistaの世界消費者調査(Global Consumer Survey)によると、仮想通貨の所有者は2023年に米国と欧州以外の地域で増えるとみられています。同様の傾向は「ビットコイン」という用語の国別でのグーグル(Google)検索数にも表れており、アフリカ地域と中南米地域で検索数が最多となっています。
2023年9月、ナイジェリアのラゴスで仮想通貨コミュニティのメンバーや開発者向けの予備会合が、12月に開催されるアフリカビットコイン会議(ABC、Africa Bitcoin Conference)に先立って開かれました。ABCの創設者であるファリーダ・ナブレマ(Farida Nabourema)氏は、ビットコインがアフリカ地域にもたらす影響や、その普及率拡大につながる方法の模索が会議の目的であると述べており、次回の会議では、開発者向けにビットコインのアプリケーションに関連するソリューション構築の機会を設ける予定であると明らかにしました。
FTX破綻後の影響
FTXを巡る騒動は、ビットコインの価格に影響をもたらしました。しかし、ほかの仮想通貨の状況はより深刻です。たとえば、FTXから巨額の資産を奪ったハッカーがその仮想通貨をイーサリアムのイーサ(ETH)に交換したため、イーサリアムの取引量が急増したことが判明しています。
一部のアナリストは、この騒動によって仮想通貨を法的に規制する必要性が認知され、仮想通貨市場の安全性が強化されることを望んでいます。しかし、すべての投資家が市場の法的規制を求めているという訳ではなく、なかには規制に否定的な意見も存在します。たとえば、世界最大の仮想通貨取引所バイナンス(Binance)は自主規制組織であり、当局の規則を順守する必要がありません。そのため、プロの仮想通貨トレーダーは、規制対象の金融市場では許可されていないアルゴリズムや価格予測を使用できるといったメリットを享受できるのです。
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