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進化するDeFi(分散型金融)と広がる活用方法

2023年9月8日 | 発行元 Statista Japan
2台のスマートフォン間でDeFi(分散型金融)を使用した電子金融取引が行われているイメージ画像。
Adrian Vidal via Getty Images
  • DeFi(分散型金融)アプリのステディファイ(Steadefi)は2023年8月、33万4千米ドル以上の資金がハッカーによる攻撃で流出したことを発表しました。さらにSteadefiは、盗んだ資金をハッカーが返却した場合、10パーセントの報奨金を提供すると明かしています。 
  • 2023年5月、米商品先物取引委員会(CFTC)の委員長を務めるロスティン・ベナム(Rostin Behnam)氏は、「DEX(分散型取引所)」も当局による規制の対象となるべき」との見解を示したと報じられています。 
  • 米・スポーツブランド大手のナイキ(NIKE)は2023年7月、自社が提供するWeb3プラットフォーム「.SWOOSH」で人気バスケットシューズ「Air Force 1(エアフォース 1)」から着想を得たバーチャルスニーカー「Our Force 1」の3Dファイルの提供を開始しました。 

DeFi(Decentralized Finance、分散型金融)という言葉を知ってはいるものの、その仕組みはよくわからないという人は、仮想通貨(暗号資産)NFT(非代替トークン)、フィンテック、あるいはブロックチェーンを運用する金融企業などを思い浮かべるかもしれません。DeFiとは、規制の対象とならない(非中央集権型)ブロックチェーンインフラストラクチャを基盤とする従来型の金融サービスや金融商品の総称です。分散型金融には、政府や金融機関の介入を防ぐために仮想通貨が用いられ、インターネット接続さえあれば誰でもDeFiサービスにアクセスできます。見方によっては、DeFiはクラウドソーシングと仕組みが似ており、全世界のユーザー数は数百万人に上ると推定されています。新興市場であるDeFiが仮想通貨市場全体に占める割合は、わずか数パーセントです。 

中央集権型の金融機関と同様に、分散型金融にも脆弱性は存在します。DeFiアプリのステディファイ(Steadefi)は2023年8月、33万4千米ドル以上の資金がハッカーによる攻撃で流出したことを公表しました。さらにステディファイは、盗んだ資金をハッカーが返却した場合、10パーセントの報奨金を提供すると明かしています。ステディファイは、いわゆる「イールド・アグリゲーター」と呼ばれるプラットフォームで、複数のDeFiを使用して資産運用を代行するサービスです。 

一部サービスに特化したDeFi

DeFiには、融資、決済、投機取引など、数多くの金融サービスが含まれ、2022年のDeFiの市場規模を確認すると、サービスによって規模が大きく異なることがわかります。DeFiで特に人気のサービスは、仮想通貨のスワップ(交換)とレンディング(貸し借り)でした。両サービスのTVL(Total Value Locked、預け入れ資産総額)は、ほかのサービスに比べて数十億米ドル高かったことがわかっています。最もよく利用されている仮想通貨取引所のランキングには、DeFiベースのDEX(分散型取引所)がいくつか含まれており、仮想通貨のレンディングサービスに対する人気が高まった背景には、一部のDeFiプラットフォームで提供される高い金利があると考えられています。分散型決済や保険サービスの市場規模は、上述のサービスと比べると遥かに小さいのが現状で、多くの消費者にとって実用的な使い道が存在しないことが主な原因であるとみられています。メタバースが発達し、現実世界の商品が扱われるようになれば、状況は変わる可能性があるとの見方もあります。 

2023年5月、CFTC(米商品先物取引委員会)の委員長を務めるロスティン・ベナム(Rostin Behnam)氏は、「DEXも当局による規制の対象となるべき」との見解を示したと報じられました。「DEXは管理者が存在しない単なるコード(プログラム)であることから、規制は不可能」との意見に対し、ロスティン氏は「米国の顧客にどのようなサービスが提供されているのか、それらの商品を開発・提供する主体(エンティティ)は誰なのか」をCFTCやSEC(米証券取引委員会)といった規制機関が追及すべきであるとの考えを示しました。 

Web3と資産のトークン化:DeFiとNFTの潜在的な応用手段

Web3(ウェブ3)は、仮想通貨と密接な関係にある用語で、ブロックチェーンを基盤とする分散型インターネットのことを意味します。Web3の最も有名なアプリケーションがメタバースです。メタバースでは、自身のアバター(デジタル上のキャラクター)を使って歩きまわることができ、仮想オブジェクトとして描かれるほかのアバターや動物との交流が可能です。ほかにも、メタバース上にデジタルの土地を購入して、そこにバーチャルな家を建てることもできます。フェイスブック(Facebook)がメタ(Meta)にリブランディングした後、こうしたバーチャルな不動産区画の売上が大きく伸びたことがわかっています。 

もちろん、こうした商品はデジタルのみに限りません。たとえば、DEX(分散型取引所)では現実のスニーカーとペアになってNFTとして販売されているデジタルのスニーカーが存在し、人気を集めています。米・スポーツブランド大手のナイキは2023年7月、自社が提供するWeb3プラットフォーム「.SWOOSH」で人気バスケットシューズ「エアフォース 1(Air Force 1)」から着想を得たバーチャルスニーカー「Our Force 1」の3Dファイルの提供を開始しました。この3Dファイルは3DCG制作ソフト「ブレンダー(Blender)」などで使用することが可能で、デザイナーやコンテンツクリエイターは、このファイルをコンテンツ作成に活用できるようになるとみられています。なお、こうしたデジタルアイテムを「資産のトークン化」と呼び、現実世界のアイテムがデジタルトークンに変えられることを指します。DeFiは、商取引や法的認知に求められるサービスを提供できることから、トークン化への応用が期待されています。 


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