セレブ発の美容ブランドは、ここ数年で人気が再燃し、今や業界を席巻しています。米国におけるセレブ系美容ブランドの売上高成長率は、2023年時点で約58パーセントに達しました。美容・化粧品部門全体の成長率が11パーセントだったことを考えると、これは驚くべき数字です。新ブランドも続々と登場しており、最近ではビヨンセ(Beyoncé)のヘアケアブランド「セクレド(Cécred)」のローンチやセレーナ・ゴメス(Selena Gomez)氏のコスメブランド「レアビューティー(Rare Beauty)」の新商品が注目を集めたほか、ベラ・ハディッド(Bella Hadid)も自身のウェルネスブランド「オーラベラ(Ôrebella)」を立ち上げました。セレブ系美容ブランドは、美容・化粧品市場において最も革新的かつ人気の高いブランドの一つに数えられ、2023年の売上高は米国だけで10億米ドル以上にのぼりました。
また、近年のトレンドとして注目されているのが、男性スターによるスキンケア事業への参入です。歌手のファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)やハリー・スタイルズ(Harry Styles)が2020年と2021年に先手を切って美容業界に参入すると、俳優のイドリス・エルバ(Idris Elba)、ブラッド・ピット(Brad Pitt)、ジャレッド・レト(Jared Leto)等も自身のコスメブランドを立ち上げて一躍脚光を浴びました。報道によれば、化粧品の粗利率の高さや男性用メイクが欧米で徐々に一般化してきたことが、セレブ系メンズ美容ブランドの勃興と関係しているとされます。
フレグランスからスキンケアまで
女優エリザベス・テイラー(Elizabeth Taylor)は、ハリウッドスターとして初めて香水シリーズを発売し、「セレブによる美容ビジネス」の先駆けとなりました。彼女のフレグランスが、2000年代初頭に起きたセレブの香水ブームへの道を開いたのです。それ以来、多数の著名人が自身の香水をリリースし、人気コスメブランドと提携を結んできました。その代表格とも言えるのは、歌手のクリスティーナ・アギレラ(Christina Aguilera)やブリトニー・スピアーズ(Britney Spears)で、近年ではビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)やアリアナ・グランデ(Ariana Grande)も香水を発表しています。とはいえ、最近ではメイクアップやスキンケアなどのラインアップを包括的にプロデュースするセレブが増えており、一部の商品はソーシャルメディア(SNSなど)で話題を呼び、人気を集めています。
2017年に歌手のリアーナ(Rhianna)がローンチしたメイクアップライン「フェンティビューティー(Fenty Beauty)」は、その後の美容・化粧品業界を大きく変えました。あらゆる肌色に合う全40色のファウンデーションを発表し、最も包摂的な美容ブランドの一つとなったほか、コスメ業界の多様性と包摂性の議論を進めるきっかけをつくりました。「フェンティビューティー」の成功を目の当たりにした多くのセレブたちは、その流れに乗ろうと必死です。
主要なセレブ系美容ブランド
セレブ系美容ブランドの2023年時点での世界売上高ランキングでは、「フェンティビューティー」が約4億7,700万英ポンドで首位に輝いています。上位には、インドの女優プリヤンカー・チョープラー(Priyanka Chopra)がリリースした「アノマリーヘアケア(Anomaly Hair Care)」や、「カイリーコスメティクス(Kylie Cosmetics)」、「r.e.m.ビューティー(r.e.m. beauty)」、「レアビューティー」がランクインしています。2023年時点でインスタグラム(Instagram)フォロワー数が最も多かったブランドは、カイリー・ジェンナー(Kylie Jenner)の「カイリーコスメティクス」で、フォロワー数は約2,600万人でした。一方、グーグル(Google)で最も検索されたブランドは、セレーナ・ゴメスの「レアビューティー」で、「フェンティビューティー」とタトゥーアーティストのキャットヴォンディー(Kat Von D)が手がける「KVDビューティー(KVD Beauty)」がそれに続いています。
セレブ系美容ブランドへの批判
競争の激しい美容・化粧品市場では、すべてのブランドが生き残れる訳ではありません。セレブ系ブランドの増加を好意的に受け止めていない化粧品会社などからは批判の声が上がっており、専門知識を一切持たない一部のスターが化粧品販売で利益を得ることに反対する意見や、「不要な」ブランドが増えることはサステナビリティに反するという主張も聞かれます。
また、商品の値段が高過ぎると考える人や、セレブが自身の製品を使用していることを疑う人もいます。ローンチから数年で廃業に追い込まれたブランドもあり、購入希望者の大半は若い世代に限定されています。他方、セレブ系美容ブランドが売上と人気度の両面において目覚ましい結果を残しているのも事実で、Z世代に至ってはより多くのセレブが新たに美容ブランドを立ち上げることを望んでいます。
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