2021年～2030年 ヘルスケアにおける人工知能（AI）の世界市場規模

2021年のヘルスケアにおける人工知能（AI）の世界市場規模は、およそ111億米ドルでした。ヘルスケアAIの世界市場規模は、2030年までに1,880億米ドルに達すると予測されており、2022年から2030年までの年平均成長率（CAGR）は、37パーセントに及ぶとみられています。 

ヘルスケアにおけるAIの使用 

2021年の調査によると、世界の健康保険機関のおよそ5分の1が、AIモデルの導入において初期段階にあると回答したことが分かっています。導入期とは、AIモデルの開発から2年以内であることを意味し、5年以上AIを使用していると答えたのは、すべての健康保険機関の10パーセントに及びません。ヘルスケア分野においては、健康データの統合や自然言語処理（NLP）に関連する機能をもつAIソフトウェアの普及が最も進んでいます。なお、AIの導入レベルが成熟期に達した健康保険機関においては、ヘルスケアAIの主な想定ユーザーとしては、臨床医や医療従事者が挙げられていますが、回答者の60パーセントは、患者もAI技術を使用することができるようになるべきであると回答しています。 

AIによる時間の短縮 

欧州では、医師の労働時間の50パーセントは診療時間で、残りの半分は管理業務の時間であるとされてきました。一方で、ヘルスケアにおけるAIの導入により、管理業務の時間が短縮されることから、医師は余った20パーセントほどの時間を患者の診察に充てることができるようになると推定されています。さらに、看護師は管理・監督業務に費やす時間が短縮されるため、患者と接する時間が約8パーセント増加するであろうと予測されています。