製造・輸送

コロナが変えた世界の航空貨物市場

2023年10月31日 | 発行元 Statista Japan
海に面した空港に着陸する直前のエアバス380機と背景にぼんやりと映る港湾施設。
phaisarn2517 via Getty Images
  • 航空貨物運送協会が公開したデータによると、日本からの航空貨物輸出量(混載貨物ベース)は2023年6月に前年同月比で27パーセント減少し、6万5,018トンとなりました。日本発の航空貨物輸出量は、18か月連続で前年を下回っています。 
  • フェデックス・エクスプレス(FedEx Express)、UPS航空(UPS Airlines)、カタール航空(Qatar Airways)の3社は、2020年の輸送トンキロベースの国際・国内航空貨物輸送量が世界最大の航空会社でした。 

世界の運輸・輸送業界は、社会経済の発展や技術の発達とともに進化してきました。特に1900年代に新しい輸送手段として登場した飛行機は、ビジネスや貨物輸送のシステムに大きな影響をもたらしました。航空業界といえば多くの人が連想するのは「旅客輸送」のほうかもしれません。しかし、航空貨物業界は、とりわけEコマース(電子商取引)が勢いを強めている世界経済において、その原動力となっています。 

貨物航空会社の市場規模は、過去数年間にわたり約1,100億米ドル付近で推移していましたが、長期的な視点で分析すると、航空貨物業界の力強い成長がはっきりと見えてきます。航空貨物業界の世界売上高は、2004年から2021年にかけて2倍以上に膨れ上がり、2021年には1,750億米ドルという最高値を記録しました。一方で、国際航空貨物輸送量に目を向けると、同期間の増加率はわずか62パーセントほどとなっています。 

日本の航空貨物運送協会が公開したデータによると、日本からの航空貨物輸出量(混載貨物ベース)は2023年6月に前年同月比で27パーセント減少し、6万5,018トンとなりました。日本発の航空貨物輸出量は、18か月連続で前年を下回ったと報道されています。   

航空貨物業界の主要な企業

国際航空輸送には、多数の貨物運送会社が存在し、正常に機能する市場が欠かせません。また、貨物空港は航空輸送に必須の拠点であり、貨物航空会社にとって重要なインフラです。2014年以降、香港空港(HKG)、メンフィス空港(MEM)、上海空港(PVG)は、貨物取扱量が世界最大の空港となっています。 

また、フェデックス・エクスプレス(FedEx Express)、UPS航空(UPS Airlines)、カタール航空(Qatar Airways)の3社は、2020年の輸送トンキロベースの国際・国内航空貨物輸送量が世界最大の航空会社でした。アラブ首長国連邦を拠点とするエミレーツ・グループ(Emirates Group)の航空貨物輸送量は、10年足らずで70パーセント増え、一時期は輸送実績が260万トン以上に達しました。なお、一部の航空会社はよりダイナミックな市場戦略を掲げて事業規模を拡大しています。カタール航空(Qatar Airways)がその良い例で、同社は2022年の航空貨物輸送量を約300万トンに増やすことに成功しています。 

コロナショック以降の航空貨物業界の見通し

国際貿易が活発になり、各国の経済関係が緊密化したことも相まって、航空貨物市場は2020年まで拡大を続けました。しかし、各国政府や産業界は、新型コロナウイルスによる世界経済への長期的かつ深刻な影響を考慮し、産業政策のあり方を見直しています。ひとつの傾向としては、海外拠点を国内回帰させる動きがあり、とくにコロナ収束後に加速しつつあります。これにより、産業は自給自足化を進めることが可能となり、しいては航空貨物を含めた国際輸送の必要性低下につながるとみられています。 

最も憂慮すべきは、コロナショックの根強い影響が世界経済を深刻な景気後退に陥れ、世界の航空貨物フォワーディング市場に打撃を与えている点です。背景には、工業生産が2020年を通じて世界全体で歴史的に低い水準にとどまっていた事情があります。コロナ禍によるより深刻な影響を反映した見通しでは、2020年に世界の航空貨物フォワーディング市場が前年比で7.7パーセント縮小すると予測されています。 

さらに、コロナ禍での旅客便の制限は、航空貨物部門におけるフレーター便(貨物専用便)の割合に影響を与えました。2020年8月時点では、航空貨物容量の約78パーセントがフレーター便で輸送されており、コロナ禍以前はそれぞれ50パーセント程度だったベリー便(旅客機を用いた貨物便)とフレーター便の割合が急速に変化しています。 


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