車両・道路交通

急加速する電気自動車の導入と市場拡大

2023年02月11日 | 発行元 Statista Japan
郊外のモダンな省エネ住宅の前で充電中の電気自動車(SUV)。
Sven Loeffler via Getty Images
  • 環境に優しい車といえばこれまでハイブリッド車が主流でしたが、最近では米カリフォルニア州が2035年からハイブリッド車の新車販売を禁止する規制案を決定、英国もガソリン車の販売を2030年までに禁止するなど、電気自動車(EV)へのシフトが急速に進んでいます。
  • 電気自動車の技術革新によって過去数年で航続距離が格段と伸びた上、急速充電ステーションの数も着実に増えており、日々の生活で電気自動車に乗ることが現実味を帯びています。
  • 日本は自動車大国であるにもかかわらず、電気自動車の開発・販売で海外ブランドの後塵を拝している他、政府も新たな課税方法を模索するなど、出遅れ感が否めない状況です。

電気自動車(EV)市場は毎年大きな成長を遂げており、その市場規模は約4,110億米ドルとされています。2016年にはわずか80万台だったプラグイン小型電気自動車世界販売台数は2021年には670万台となり、全世界の自動車販売台数の約8%を占めました。近年の技術革新によって航続距離が伸びたことや、急速充電ステーションの数も増えていることにより、EVはより身近な存在になりつつあります。

EVで覇権を握る国は?

市場を国別で見ると、2021年に中国で使用されていたEVは約784万台で、2位の米国(206万台)、3位のドイツ(131万台)を大きく引き離していました。EVの代名詞ともなっているTesla(テスラ)はEVメーカー、EVモデル別でも1位を獲得しているものの、トップ10を見るとBYDやSAIC、上汽通用五菱汽車など中国ブランドが数多くランクインしています。

Statistaによるこのインフォグラフィックは、2022年上半期のBEV(バッテリー式電気自動車)メーカーの市場シェアを示しています。
Source: Statista.com

また、中国は2021年のプラグイン電気自動車の新規登録台数が前年と比較して成長した唯一の国でした。反対に北米は前年比96%、ヨーロッパは同66%と成長速度の低下が伺えます。 

テスラの隆盛

Elon Musk(イーロン・マスク)氏が率いるテスラはEVを世に広めた企業の一つですが、過去には生産が追いつかないなどの問題を抱えていました。しかし近年では、2020年に499万台、2021年には約936万台を納車しており、2022年はさらに多くの新車を納車する見込みです。テスラのModel 3は2021年に50万1千台を売り上げ、世界で最も人気のあるプラグイン電気自動車(PEV)となりました。当企業の売上高も増えており、2020年には315億3,600万米ドル、2021年には538億2,300万米ドルを記録しました。

テスラは市場シェア売上高ではトヨタやフォルクスワーゲンなどのブランドに及ばないものの、時価総額ではトヨタを4倍以上引き離し、世界で最も市場価値のある自動車ブランドとなっています。これまで主流であったハイブリッド車の販売を近い将来禁止することを米カリフォルニア州や英国が決める中、EV市場は大きな追い風に乗っています。 

今後の展望

前述のように急激な成長を遂げたEV市場ですが、まだまだ伸びしろはありそうです。2021年に約4,110億米ドルだったEV市場は2027年には1兆3,933億米ドルと、数年間で3倍近い成長が見込まれています。この成長のほとんどは乗用車から来ることが予想されており、2026年には世界のEVの半分弱がアジア太平洋地域で使用される見込みです。2021年の電気自動車指数によると、中国はEVの技術開発の分野でリードしている一方、需要ではドイツが最も高いスコアを獲得しました。

Statistaの調査によると、自動車を購入する際にEVを選択肢に入れると答えた人の割合は韓国が最も高く(40%)、インド、スイス、イギリスと続きました。

Statistaによるこのインフォグラフィックは、特定の国において、自動車を購入する際にEV(電気自動車)を検討すると回答した人の割合(単位:%)を示しています。
Source: statista.com

2021年時点に日本で使用されていた乗用EV は13.8万台あまりで、年々台数は増加しているものの、1千万台以上使用されているハイブリッド車とは大きな開きがありました。これには日本の自動車ブランドがEVの開発・販売に遅れをとっていることが背景にあります。また、これまでの自動車関連税はエンジンの排気量によって課税していましたが、EVはエンジンを搭載していないため排気量がゼロとなります。これは税収の大幅減につながるため、政府は新たな課税方法を模索しており、日本のEV大国への道のりの行く手を阻むことが予想されます。
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