電気自動車(EV)市場は毎年大きな成長を遂げており、その市場規模は約4,110億米ドルとされています。2016年にはわずか80万台だったプラグイン小型電気自動車世界販売台数は2021年には670万台となり、全世界の自動車販売台数の約8%を占めました。近年の技術革新によって航続距離が伸びたことや、急速充電ステーションの数も増えていることにより、EVはより身近な存在になりつつあります。
EVで覇権を握る国は?
市場を国別で見ると、2021年に中国で使用されていたEVは約784万台で、2位の米国(206万台)、3位のドイツ(131万台)を大きく引き離していました。EVの代名詞ともなっているTesla(テスラ)はEVメーカー、EVモデル別でも1位を獲得しているものの、トップ10を見るとBYDやSAIC、上汽通用五菱汽車など中国ブランドが数多くランクインしています。
また、中国は2021年のプラグイン電気自動車の新規登録台数が前年と比較して成長した唯一の国でした。反対に北米は前年比96%、ヨーロッパは同66%と成長速度の低下が伺えます。
テスラの隆盛
Elon Musk(イーロン・マスク)氏が率いるテスラはEVを世に広めた企業の一つですが、過去には生産が追いつかないなどの問題を抱えていました。しかし近年では、2020年に499万台、2021年には約936万台を納車しており、2022年はさらに多くの新車を納車する見込みです。テスラのModel 3は2021年に50万1千台を売り上げ、世界で最も人気のあるプラグイン電気自動車(PEV)となりました。当企業の売上高も増えており、2020年には315億3,600万米ドル、2021年には538億2,300万米ドルを記録しました。
テスラは市場シェアや売上高ではトヨタやフォルクスワーゲンなどのブランドに及ばないものの、時価総額ではトヨタを4倍以上引き離し、世界で最も市場価値のある自動車ブランドとなっています。これまで主流であったハイブリッド車の販売を近い将来禁止することを米カリフォルニア州や英国が決める中、EV市場は大きな追い風に乗っています。
今後の展望
前述のように急激な成長を遂げたEV市場ですが、まだまだ伸びしろはありそうです。2021年に約4,110億米ドルだったEV市場は2027年には1兆3,933億米ドルと、数年間で3倍近い成長が見込まれています。この成長のほとんどは乗用車から来ることが予想されており、2026年には世界のEVの半分弱がアジア太平洋地域で使用される見込みです。2021年の電気自動車指数によると、中国はEVの技術開発の分野でリードしている一方、需要ではドイツが最も高いスコアを獲得しました。
Statistaの調査によると、自動車を購入する際にEVを選択肢に入れると答えた人の割合は韓国が最も高く(40%)、インド、スイス、イギリスと続きました。
2021年時点に日本で使用されていた乗用EV は13.8万台あまりで、年々台数は増加しているものの、1千万台以上使用されているハイブリッド車とは大きな開きがありました。これには日本の自動車ブランドがEVの開発・販売に遅れをとっていることが背景にあります。また、これまでの自動車関連税はエンジンの排気量によって課税していましたが、EVはエンジンを搭載していないため排気量がゼロとなります。これは税収の大幅減につながるため、政府は新たな課税方法を模索しており、日本のEV大国への道のりの行く手を阻むことが予想されます。
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