消費財・消費動向

広がりつつあるベジタリアン・ヴィーガン生活様式と代替食品

2023年02月08日 発行元 Statista Japan
手つかずの自然にある、カトラリーと皿の形をした湖。ヴィーガニズム、ベジタリアニズム、肉を使わない食生活の傾向を表すメタファー。
Petmal via Getty Images
  • 日本でも訪日外国人の増加を背景とし、動物肉の代わりに代替肉を使用したメニューを提供する企業が増えており、全日本空輸では2022年からヴィーガンやベジタリアンを対象とした機内食を国際線ではじめました。
  • 宗教上の理由などからベジタリアンの人口が多いインドでは、新型コロナウイルスによる健康への意識の高まりから代替肉への注目が高まっており、ボリウッド俳優やSNSのインフルエンサーが広告塔として販促をするなど、今後市場が拡大すると予測されています。
  • ヴィーガンは食生活だけでなく、身の回りから動物由来のものをできるだけ排除するという生活様式に広がることもあり、ヴィーガンファーやヴィーガンレザーなど、ファッションの分野でも多用される言葉でもあります。

ベジタリアンよりも更に踏み込んだヴィーガン食生活は、まだまだ一般的とは言えないながらも広がりを見せています。毎年1月に行われるヴィーガン食キャンペーン「Veganuary」の参加者は、2022年には62万9千人を突破しました。日本でも、訪日外国人の増加を受けて代替肉を使用したメニューを提供する会社が増えており、全日本空輸(ANA)では2022年から国際線でヴィーガンやベジタリアン向けのメニューの提供を開始しました。

ヨーロッパでは多くの国においてヴィーガン人口が1%程度に留まっているのに対し、インドでは人口の13%がヴィーガン、25%以上がベジタリアンの食生活を送っています。これには宗教上の理由などの他、コロナウイルスによる健康への意識の高まりもあります。そんなインドでもベジタリアン人口は近年減少傾向にあり、2018/2019年から2021/2022年にかけて6.2%減少しました。

Statistaによるこのインフォグラフィックは、特定の国でベジタリアン食を実践していると回答した人の割合(%)を示しています。
ベジタリアン人口の増加 Source: statista.com

ベジタリアンやヴィーガンになる理由は健康上、動物愛護、環境保護の理由など多岐にわたります。ベジタリアニズムは主に食生活を指しますが、ヴィーガニズムは生活様式まで含むこともあり、主な例としてヴィーガン・レザーやヴィーガン・ファーなどを購入することで動物由来の衣類を避けることが挙げられます。非動物性の皮革の市場価値も成長しており、2025年には全世界で490億米ドルを超えると試算されています。 

ヴィーガン製品の世界市場

2021年の世界のヴィーガン食品市場は157.7億米ドルでしたが、2025年には222.7億米ドルに到達すると予想されています。また、世界の植物性食品市場も大きな成長が見込まれており、2020年から2030年までの10年間で、約5.5倍拡大する試算です。代替肉市場では市場価値が約90億米ドルのBeyond Meatが他社を大きく引き離しており、次いでImpossible Foods(約52億米ドル)、Oatly(20億米ドル)となっています。 

Statistaによるこのインフォグラフィックは、2022年に米国においてベジタリアンやビーガンの人が人口に占める割合を示しています。
未だ根強い肉・魚食人気 Source: statista.com

代替ミルクの市場価値

ヴィーガン食品の代表格は代替肉ですが、世界の市場価値で見ると2022年時点で代替肉は101億米ドル、代替ミルクは209億米ドルと、代替ミルクの方が大きくなっています。代替ミルクの主な市場は中国と米国で、2022年には2カ国で122億米ドルの売上高が見込まれており、市場の約6割を占めることが予想されています。種類別では豆乳が最も人気で、次いでアーモンドミルクとなっています。 

Statistaによるこのインフォグラフィックは、動物性食品に代わる植物性食品の普及率を表しています。
食卓にのぼる植物性食品 Source: statista.com

Statistaは、記載された情報の完全性および正確性に関して一切の責任を負いません。このページに掲載されているのは一般的な情報であり、statista.comのコンテンツを翻訳し、作成したものです。和訳版と原文(英語)に差異が発生した場合には、原文が優先します。更新頻度が異なるため、本ページで紹介したデータよりも新しいデータがstatista.com上に表示される場合があります。データの二次利用権に関しては、FAQの該当項目をご覧ください。


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