ベトナムは近年、衣料品輸出大国として存在感を高めており、2023年の輸出額でみると、繊維製品が主要輸出品目のひとつに入っています。ベトナムは、高い農業依存度の引き下げに取り組んでおり、製造業が経済成長を支える重要な柱として注目されています。また、国民の生活水準が向上したことで、衣類や靴への消費支出も年々増加しています。
安価な熟練労働力で競争優位に立つベトナムの製造業には、海外直接投資(FDI)が集中しています。ベトナム繊維協会(VITAS)によると、繊維産業へのFDI流入額は、2024年時点で370億米ドル以上に達したとみられています。FDIセクターは、ベトナムの繊維輸出の約65パーセントを占めており、主な投資国・地域は韓国、台湾、香港、中国となっています。なお、衣料品の内需拡大に対しては、国内生産と輸入で対応しているのが現状です。
近年では、衣類の製造に必要な素材の供給が需要に追いついておらず、綿花、繊維、糸、織物の大半を輸入に頼っています。ベトナムは、綿花生産国であるにもかかわらず、生産量の減少により、純輸入国となっています。2023年8月から2024年2月までの期間では、オーストラリアからの綿輸入量が最大でした。
輸入への過度の依存は、繊維産業にとって大きなリスクとなります。ベトナム政府は、内需の高まりと共に、繊維・衣服・革・靴製造業向けの国産原材料のサプライチェーン構築を最優先事項に掲げています。
2023年は、多くの国が厳しい経済的試練に直面した年でした。ベトナムの繊維製品の主な輸出先である米国や欧州でも、インフレが原因で需要が急激に落ち込みました。その影響もあり、2023年の繊維輸出額は、前年比9.2パーセント減となっています。
こうした厳しい状況下にありながらも、ベトナムは、サステナブル(持続可能)な製造工程の構築や技術投資、中東・アフリカ地域への市場拡大といった、野心的な成長目標を掲げています。しかし、同国のアパレル産業がこの苦境を乗り越えられるかどうかは、依然として不透明な状況です。物価高騰や景気後退が、将来の展望に深刻な影響がおよぼす可能性は否定できません。
Statistaは、記載された情報の完全性および正確性に関して一切の責任を負いません。このページに掲載されているのは一般的な情報であり、statista.comのコンテンツを翻訳し、作成したものです。和訳版と原文(英語)に差異が発生した場合には、原文が優先します。更新頻度が異なるため、本ページで紹介したデータよりも新しいデータがstatista.com上に表示される場合があります。データの二次利用権に関しては、FAQの該当項目をご覧ください。
Statistaにご関心をいただき有難うございます。ライブデモのご要望、製品の内容、アカウントの種類や契約に関する詳細など、どうぞお気軽にお問い合わせください。日本語と英語での対応が可能です。