将来の個人および公共の移動手段として期待されている自動運転車は、徐々に市場シェアを拡大しつつあります。2019年には、一定レベルの自動運転が可能な自動車が世界で約3,100万台走行していました。2024年には、その数は5,400万台を超えると予想され、それに伴い世界の自動運転車市場も成長すると見込まれています。2021年の同市場規模は241億米ドルでしたが、2026年には約620億米ドル規模に達すると予測されています。
進化する自動運転のレベル
自動運転車に関する用語は多種多様であり、統一されていません。「Autonomous(自律走行)」、「Automated(自動化運転)」、「Self-driving(自動運転)」という用語は、同じ意味で使われる場合や、車両の自動化の程度を表すのに使用される場合もあります。このような用語を標準化するために、SAEインターナショナルは2014年、ドライバーによる運転の介入度合いに基づく6段階の分類システムを発表しました。
「レベル0」は、自動ブレーキやレーン追従システムなど、特定の状況でドライバーの注意を促したり、アシストしたりする最小限の自動化を装備した車両に使用されます。
「レベル1」はハンドル操作か加減速をサポートするもの、「レベル2」はハンドル操作と加減速をサポートするシステムを指します。また、「レベル3」は緊急時以外の運転を車両が自動で行い、「レベル4」は運転操作を自動車に完全に任せるものになります。「レベル5」は人間のドライバーがいなくても動作する完全自律型車両を意味します。
自動運転車の導入と規制
メーカーは自動運転車の導入について強気ですが、完全自動運転車の実現にはまだ時間がかかると考えられています。その主な理由として、完全自動運転車を日常生活に取り入れるために必要となる技術が、まだ十分ではないということが挙げられます。一方で、自動車メーカーは新型車に一部の技術を搭載し、一定の自動運転を可能にしています。メルセデス・ベンツは2021年末に「レベル3」の国際認証を取得し、2022年5月からドイツ国内でこの技術を搭載した新型車の販売を開始している他、2023年1月には米国で初となる承認を受けています。
日本においては、2023年4月に施行される改正道路交通法により、従来の制度では認められていなかった、「レベル4」の一定条件下での行動走行を認める予定です。また東京都と群馬県前橋市では、大学や民間企業と協力して巡回バスの自動運転実証実験を行うなど、官民が公共交通機関の自動運転化に向けて協働しています。
2025年には、世界で販売される新車の約60%が「レベル2」の自動運転機能を搭載する見込みです。2030年では「レベル2」の自動運転車が市場の大部分を占める見通しですが、「レベル3」および「レベル4」の自動運転車も、新車販売台数の8%程度を占めると予想されます。
主要企業
自動運転車市場は、既存の自動車メーカー、技術系企業、専門性の高い新興企業にとって魅力あるもので、General Motors(ゼネラル・モーターズ)、トヨタ、日産、Volkswagen(フォルクスワーゲン)、Ford(フォード)、Tesla(テスラ)といった企業がすでに参入しています。しかし自動運転車の開発は複雑なため、企業は技術的なノウハウや人材の獲得を目的として合弁会社の設立、あるいは中小企業の買収を行うなどの傾向があり、これによって自動運転車業界は次第に狭い業界へとなりつつあります。2016年にはゼネラルモーターズが新興企業Cruise(クルーズ)を買収し、2021年にはトヨタがLyft(リフト)の自動運転車部門の買収を発表しています。また、自動運転を手掛ける新興企業のArgo AI(アルゴ・エーアイ)は、フォードとフォルクスワーゲンから多額の資金援助を受けています。
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