中国は、重要鉱物(クリティカル・ミネラル)や金属の世界最大の生産国のひとつで、埋蔵量でも圧倒的なシェアを誇ります。そのため鉱業は中国にとって、経済的にも政治的にも重要な産業です。鉱物資源生産額が同国のGDP(国内総生産)に占める割合は、2020年時点では1.5パーセントでした。また、同年の中国の金属鉱物および石炭生産額は、約2,180億米ドルに達しています。中国では、1,500か所以上の鉱山で採掘作業が行われており、そのうちの約4分の3が地下鉱山です。
重要鉱物を独占する中国
鉱物資源が豊富な中国は、セメント、鉛、亜鉛、グラファイト(石墨)、金など、重要な鉱産品の主要生産国です。また、その他いくつかの鉱産品の生産量においても、中国は世界ランキングで5位以内に入っています。2023年に同国で最も大量に生産された鉱産品はセメントでした。
デジタル化やグリーン化に不可欠な重要鉱物の大半が中国で生産されている現状は、国際社会の重大な関心事となっています。中国のレアアース(希土類)生産量は、2023年時点で世界の生産量のおよそ7割を占めています。さらに、レアアースの加工量においては、2020年に世界シェアの87パーセントに達しました。 近年では、リチウムの生産量も増えており、2010年の4千トン未満から、2022年には2万トン近くに増加しました。他方、コバルトの生産量は、2015年の7,700トンから2022年には2,200トンに減少したと推定されています。おり、2010年の4千トン未満から、2022年には2万トン近くに増加しました。他方、コバルトの生産量は、2015年の7,700トンから2022年には2,200トンに減少したと推定されています。
しかし世界の国々も、ただ手をこまねいているだけではありません。コバルトは、 EV(電気自動車)バッテリーに欠かせない鉱物資源ですが、地下資源が豊富なことで知られるオーストラリアでは、2024年内に国内発のコバルト精錬所の建設が始まると報じられています。オーストラリアは、コバルト生産の大半を中国が独占している現状を打開し、脱中国依存の達成を目論んでいるとみられています。こうした動きは、今後欧米を含む世界各国へと広がっていくことが予想されます。
中国の主要な鉱業会社
中国最大の生産量を誇る鉱山は、2021年時点では四川龍蟒集団(Sichuan Lomon Corporation)が所有する攀枝花(はんしか)鉱山でした。同年の攀枝花鉱山の粗鉱生産量(ROM)は、6,200万トン以上に達しています。また、国内最大の金鉱山は、2022年時点では安徽省にある沙渓(さけい)銅鉱山でした。同年の金生産量は、95万9千オンスにのぼりました。
江西銅業(Jiangxi Copper)は、国内最大の売上高を誇る国営企業であり、世界第2位の鉱業会社でもあります。江西銅業の2023年の売上高は、670億米ドル以上に到達しました。同じく国営企業の紫金鉱業集団(Zijin Mining Group)も、2023年7月時点での時価総額が420億米ドルを超え、中国の鉱山会社の時価総額ランキングで1位に輝いています。
中国の鉱業分野ではM&A(合併・買収)が盛んで、2022年10月には、江蘇省を拠点とする沙鋼集団(Jiangsu Shagang Group)が、南京南鋼鋼鉄連合(Nanjing Nangang Iron & Steel United)を約22億2,200万米ドルで買収することが報じられました。2022年時点では、これが中国の鉱業会社による最大規模の企業買収となっています。
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