製造・輸送

実用化が進む産業用ロボットの世界市場を取り巻く状況

2023年07月26日 | 発行元 Statista Japan
協働ロボット(コボット)と呼ばれる産業ロボットと働く男性。
rozdemir01 via Getty Images
  • 2023年3月、日本の産業機械メーカーであるスギノマシンは、産業ロボット用シミュレーションソフトウェア「CROROROS(クロロロス)」を発表しました。3D空間を活用することで、産業用ロボット導入の足かせとなっているティーチングを平易化できると期待されています。 
  • デンソーウェーブは、2023年6月に開催された「FOOMA JAPAN 2023」において、協働ロボット「COBOTTA PRO」を活用して総菜の盛り付けなどを行う最新システムを披露しました。日本の食品製造業では人手不足が深刻化していることから、作業の省人化・自動化を支援する協働ロボットの導入に期待が寄せられています。 
  • 米国のロボット開発企業Boston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)は2023年1月、研究開発用の人型ロボット「Atlas(アトラス)」の最新動画を公開し、大きな反響を呼んでいます。 

「どこもかしこもロボットだらけ」という表現を聞くと、映画「ターミネーター」のワンシーンのような、ゾッとする光景を思い浮かべる方もいるかもしれません。しかし、世界の製造業という文脈に置き換えると、このフレーズは産業分野における重要な変化を示唆していることがわかります。 

2016年以降、産業用ロボットは世界中で着実に実用化が進んでおり、市場は2027年まで成長を続けると予測されています。産業用ロボットの普及が特に進んでいるのは、日本、中国、韓国、ドイツ、米国など、自動車産業やエレクトロニクス産業が盛んな国々です。需要拡大の主な要因には、産業用ロボットの近年までの価格低下や、中国や新興国における賃金の上昇が挙げられ、先進国の企業による生産の国内回帰を促すことになるとみられています。 

ロボットの需要拡大を受け、供給は需要に追いつこうとすることから、1台当たりの価格は着実に上昇することが見込まれています。しかし、価格の上昇は、ロボット1台当たりの生産コストを考慮すると比較的緩やかなものになると予測されています。 

効率化のために産業用ロボットを導入し、思い通りに動かすためには、ティーチングという工程が欠かせません。ティーチングとは、産業ロボットに動作を教え込む作業のことですが、日本の産業機械メーカーであるスギノマシンは2023年3月、ティーチングを平易化する産業ロボット用シミュレーションソフトウェア「CROROROS(クロロロス)」を発表して話題を呼んでいます。バーチャル空間を活用することで、産業用ロボット導入の足かせとなっているティーチングを簡素化できると期待されています。 

このインフォグラフィクスは、ロボティクスによる年間売上高を産業別に示したものです。
Source: statista.com

産業用ロボットの種類

製造業で最も幅広く導入が進んでいるのは、1つのスライド軸上を動く直交ロボット(ガントリーロボット)と3つの可動軸を備えた水平多関節ロボット(スカラロボット)です。最新モデルとしては、外骨格ロボット協働ロボット(コボット)が挙げられ、双方ともに人間の近くで作業することを想定して設計されています。外骨格ロボットとは、ヒトの体に装着することで肉体の能力を拡張し、重い荷物を運べるようにするものです。一方で、協働ロボットは、人と同じ作業空間で組み立てや品質検査といった作業をこなすロボットです。 

デンソーウェーブは、2023年6月に開催された「FOOMA JAPAN 2023」において、協働ロボット「COBOTTA PRO」を活用して総菜の盛り付けなどを行う最新システムを披露しました。日本の食品製造業では人手不足が深刻化していることから、作業の省人化・自動化を支援する協働ロボットの導入に期待が寄せられています。 

ロボットによる家事の産業化

家事は、今後ますます自動化が進むと予測されていますが、そこで活躍が期待されているのがさまざまなサイズや形のロボットです。サービスロボットとは、人間が行う作業を支援するロボットのことですが、その設置台数は過去数年で大幅に上昇しています。すでに多くの家庭で使用されているロボット掃除機や、SF(サイエンスフィクション)でおなじみの近未来的な二足歩行ロボットまで、その種類は実に豊富です。2022年後半に公開されたTesla(テスラ)の人型ロボット「Optimus(オプティマス)」や、Boston Dynamic(ボストン・ダイナミクス)が米軍と共同で開発したロボットなど、二足歩行ロボットの導入はより現実味を帯びています。 

前述のロボット開発企業Boston Dynamicsは2023年1月、研究開発用の人型ロボット「Atlas(アトラス)」の最新動画を公開し、大きな反響を呼んでいます。最新の映像では、Atlasが自ら板を敷いて足場を作ったうえでそれに飛び乗るなど、さまざまな障害物に対して動的に対応し、工具を忘れた作業員に工具入りのバッグを届ける様子が映っています。 


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