産業ガスとは、工業製品の製造工程で幅広く使われるガスの総称で、酸素・窒素・アルゴンなどのエアセパレートガス(空気分離ガス)、炭酸ガス・水素(副生ガス)、アセチレンガス、希ガス・化学合成ガス(半導体用ガス)などを含みます。その種類は豊富で用途も異なり、使用量や使用形態に応じて、気体または液体の状態でパイプラインや容器(シリンダー)、液化ガスローリー・ガストレーラーなどにより供給されます。産業ガスは、常温・常圧では気体に変化します。産業ガスの世界市場規模は、2021年時点で937億米ドルとなっており、2029年には1,291億米ドル以上に達する見込みです。
産業ガスの主な用途
産業ガスは、製造業の大半で重要な役割を担っています。たとえば化学製品(薬品)の製造工程では、原材料として産業ガスが用いられており、金属・鉄鋼業では、主に燃焼温度を上げる目的で大量の酸素が使用されます。自動車産業や造船業でも、産業ガスが金属の切断や溶接によく使われます。ほかにも、半導体製造、医療、医薬品、食料・飲料、水素エネルギーなど、産業ガスは幅広い分野で活用されています。
産業ガス大手
エア・リキード(Air Liquide)、リンデ(Linde)、エアプロダクツ(Air Products)、大陽日酸は、産業ガス業界の大手企業であり、合わせると世界シェアの大半を占めます。2022年の売上高が業界1位だったのは、フランス・パリに本社を置く多国籍企業のエア・リキードです。同社の売上高は、310億米ドル以上にのぼりました。アイルランドに本拠地を置く業界2位のリンデは、ドイツのリンデAG(Linde AG)と米国のプラクスエア(Praxair)の経営統合により2018年に設立された会社で、従業員数は、2022年時点で約6万5千人に達しています。
また、日本の産業ガス大手の大陽日酸は、先端半導体の国産化を狙うラピダス(Rapidus)が北海道千歳市に建設する新工場の敷地内に、産業ガスの製造施設を造設すると公表しています。先端半導体の生産工程は複雑化しているため、より多種・多量の産業ガスの使用が見込まれています。大陽日酸は、新工場への特殊ガスの供給円滑化を支援することで、半導体産業の発展に貢献したいとしています。
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