建設機械（建機）は、建築物やインフラの建設に欠かせない重機で、用途や役割によってさまざまな種類が存在します。構造材料の形成や道路の舗装に使われるコンクリートミキサやアスファルトフィニッシャ、資材の運搬に用いられるフォークリフト、テレハンドラ、タワークレーン、さらに建物の解体、掘削、運搬処理に最適なブルドーザ、ショベルカー、ホイールローダなどです。建設機械は維持管理にコストがかかるため、常時必要でない場合はレンタルが合理的です。北米地域においてレンタル料金が最も高額な建設機械は、標準的なブルドーザ（クローラドーザ）です。1か月当たりの使用料は、平均で約6,600米ドルに達しています。
建設機械製造業では、事業を維持し、技術革新を進め、競合他社に先んじるために多額の設備投資が必要です。そのため、メーカーには光熱費や従業員の給与といった諸費用の負担が重くのしかかります。
参入障壁が高い業界のため、建設機械の最大手は老舗メーカーが主流です。市場シェアでは、国内市場規模が大きい米国、中国、日本、西欧諸国の企業がトップを占めます。多くの建機メーカーは、農業、鉱業、林業、防衛、自動車産業向けの機械も製造しているため、主要な重機メーカーのランキングでも上位を占めています。
建設業の規模は巨大で、2022年の建設支出額は中国だけでも3,100万元（約4兆6,400億米ドル）以上に達しています。建設機械の製造、販売、レンタルの市場規模は、建設業界の趨勢に大きく左右されるため、市場規模が大きい国々での業界動向に注目すべきです。たとえば、米国の建設支出額は2024年から2年連続で減少し、2026年にようやく回復に転じると予測されています。仮に予測どおりとなれば、米国で事業を大々的に展開する建設機械メーカーにとっては大きな痛手となります。
また、さまざまな業界で AI（人工知能）導入や自動化が叫ばれていますが、建設機械業も例外ではありません。2024年3月、ゼネコン大手の清水建設は、 土木工事の無人化施工の実現に向けた技術開発の一環として、盛土工事に従事するブルドーザの自動運転システムを構築、実機を用いた実証試験を実施したと発表しました。他産業よりも高齢化が深刻な建設業では、熟練作業員の大量離職が大きな課題となっており、無人機を用いた省人化による対応に期待が寄せられています。
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