2023年 世界の鉄鋼企業売上高ランキング

中国・上海に本社を置く宝武鋼鉄集団（Baowu Steel Group）は、2023年度（2023年3月31日当日またはその前日が末日）の売上高が約1617億ドルに達したと報告しています。宝武鋼鉄集団は、ルクセンブルクに拠点を構える鉄鋼大手アセロール・ミタル（ArcelorMittal）を含む世界の主要な競合他社を圧倒し、売上高が世界一の鉄鋼企業となっています。 

宝武鋼鉄集団の業界トップへの道のり 

2016年に宝鋼集団（Baosteel Group）と武漢鋼鉄集団（WISCO）が合併して発足した宝武鋼鉄集団は現在、粗鋼生産量において世界最大の鉄鋼企業です。それ以前は、オランダのミタル・スチール（Mittal Steel Company）とルクセンブルクのアルセロール（Arcelor）の経営統合により2006年に誕生したアルセロール・ミタルが、業界最大手の企業でした。しかし同社の生産量と売上高は近年急激に減少しており、宝鋼集団に首位の座を明け渡す結果となりました。 

鉄鋼企業への批判 

1987年から15年間続いた価格カルテル（価格協定）の発覚により、鉄鋼企業は世間の信用を失うこととなりました。アルセロール・ミタルを含む関連企業には、約2億7千万ユーロの制裁金が課せられ、アルセロール・ミタルへの信用は2020年に至っても回復していません。 

また鉄鋼業界は、環境汚染の主な原因となっています。製鋼工程では、高炉から二酸化炭素（CO2）および二酸化硫黄（SO2）が排出されます。ウクライナのゼレンスキー（Zelensky）大統領は、アルセロール・ミタルによる環境汚染を批判しています。さらに同社は、イタリアの旧式製鉄所の買収後、環境基準が甘いと非難を浴びています。