新型コロナウイルスのパンデミックによる影響を受け、2020年から2022年にかけて大半の航路でコンテナ運賃が大幅に上昇しました。世界の全航路の集約データによると、40フィートコンテナの運賃は2022年3月時点で約8,200米ドルに達しており、わずか2年で6倍以上に膨れ上がっています。コンテナ運賃が最も高騰したのは2021年9月で、40フィートコンテナの運賃は当時、約1万400米ドルに到達しました。
コンテナ運賃がこれほどまでに高騰したのは、世界金融危機が発生した2008年以降初めてです。今回の運賃上昇の原因は2008年とは異なりますが、いずれの場合もグローバル・サプライチェーンの相互依存と脆弱性が露呈する結果となりました。
コンテナ運賃上昇の原因
グローバル・サプライチェーンは、海外拠点を含めた調達から流通の一連の生産ラインからなるシステムで、生産ラインの各段階が正常に機能してはじめて全体が成り立つという脆弱性を抱えています。
新型コロナウイルスのパンデミックでは、サプライチェーンまたは産業全体が停止に追い込まれたり、サプライチェーンの物流効率が著しく低減したりする事態となりました。特に、大陸間の貨物の移動に使われ、複雑なプロセスから成り立つ海上コンテナ輸送は、パンデミックの影響により港湾の封鎖や混雑、人手不足、コンテナ不足、船舶燃料費の高騰などの影響を受け、運営が困難かつ予測不可能となりました。また、2021年にはアジア発米国向けの海上コンテナ輸送量が2019年比で約40パーセント増加したものの、米国発の輸出量は2年前と比べて同程度に留まりました。
これらの理由から、海運各社は能力をフル活用して貨物輸送需要に応えることができず、記録的な運賃の高騰を招きました。
今後の動向
増加する海上輸送コストの負担が消費者や製造業者の肩に重くのしかかる一方で、海上貨物運送業者は近年、増益を報告しています。世界の主要な海運会社の平均EBITマージンは、2022年第1四半期に57パーセントを超え、2019年の3.7パーセントから大きく増加しました。以来、EBITマージンは減少を続け、2023年第2四半期時点では8.9パーセントにとどまっています。海運企業の多くは、得た利益を積載量の拡大を目的としたコンテナの購入やコンテナ船の新規建造発注に充てています。コンテナ船の建造には約18か月かかるため、注文から納品までには2~3年の期間を要します。
一方で船舶燃料の価格は、激戦が続くロシア・ウクライナ戦争や原油価格の高騰による値上がりが見込まれていることから、コンテナ運賃もそれに伴って今後上昇し続けるとの見解もあります。また、別の国際情勢の影響もあり、コンテナ運賃は2024年1月に入って高騰しています。昨年12月、デンマークの海運大手A. P.モラー・マースク(A.P. Moller-Maersk)の船舶がイエメンのフーシ派武組織の攻撃の対象となったことを受け、多くの海運企業が紅海の通行を停止していることがその主な要因です。
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