製造・輸送

EVシフトで高まるリチウムイオン電池の重要性

2023年11月17日 | 発行元 Statista Japan
リチウムイオン電池を搭載した電気自動車のイメージ画像。
Chesky_W via Getty Images
  • 2023年9月、使用済みリチウムイオン電池の再利用を手がけるリ・サイクル(Li-Cycle Holdings Corp.)社は、欧州で同社初となるリチウムイオン電池の回収・処理施設の操業を、ドイツ東部のマグデブルクで正式に開始しました。
  • 世界のリチウムイオン電池市場においては、今後著しい成長が見込まれています。2020年には約405億米ドルと推定されていた市場規模が、2030年には919億米ドルに到達すると考えられています。

化石燃料を一切必要としないワイヤレスな相互接続社会の基盤となるリチウムイオン電池は、人びとの生活に大きな変化をもたらしました。しかし、そのポテンシャルはまだ十分に発揮されているとは言えません。世界のリチウムイオン電池需要は、2020年から2030年までに11倍に増加すると予測されており、2030年には2テラワット時以上に達すると見込まれています。リチウムイオン電池の需要拡大の裏には、人気が高まりつつあるEV(電気自動車)の存在があります。

それにより、世界のリチウムイオン電池市場では今後著しい成長が見込まれています。2020年に約405億米ドルと推定されていた市場規模は、2030年には919億米ドルに到達すると考えられています。

電池生産競争に勝った中国

リチウムイオン電池に対する需要の高まりは生産能力の拡張につながっており、建造中または建造予定の電池工場の数は、世界全体で2015年の4か所から、2020年には181か所に増えています。このような背景から、リチウムイオン電池の生産能力は2018年の約300ギガワット時から、2028年には2テラワット時以上に向上することが見込まれています。2020年時点では、世界のリチウムイオン電池の約77パーセントが中国で生産され、全世界へと輸出されていました。中国には当然ながら、世界最大の電池工場の大半が存在します。

欧州は、リチウムイオン電池の製造施設に対する大規模な投資を計画していますが、当面は中国が世界の電池生産を独占する状況が続くとみられています。2025年までには、世界の総生産量に占める中国産リチウムイオン電池の割合が約65パーセントに減少し、欧州産の割合はおよそ25パーセントに達すると推測されています。

2023年9月、使用済みリチウムイオン電池の再利用を手がけるリ・サイクル(Li-Cycle Holdings Corp.)社は、欧州で同社初となるリチウムイオン電池の回収・処理施設の操業を、ドイツ東部のマグデブルクで正式に開始しました。マグデブルクでは、カナダに本社を置くリ・サイクルが特許を取得済みである第3世代の「スポーク技術」が使用される予定です。この技術を用いることにより、廃棄されたEVのバッテリーパック一式を含むすべてのリチウムイオン電池の廃棄物を、放電、解体、熱処理なしに直接処理することができるとみられています。

このインフォグラフィックは、米国が輸入したリチウムイオン電池の生産国と輸入額を示したものです。
出典元:statista.com

リチウムイオン電池の活用方法

リチウムイオン電池とは、充電して繰り返し使える電池で、リチウムイオンが正極と負極の間を移動することで充電や放電をおこなう仕組みを活用しています。1991年にリチウムイオン電池を世界で初めて商業化したのは、日本のソニーです。リチウムイオン電池は、エネルギー密度や安全性、充電時間、価格、重量などにおいてニッケル水素電池より高性能であったことから、代替品として人気が出ました。今日ではEV以外にも、携帯電話やノートパソコン、デジタルカメラ、電動工具にも使われています。技術の進歩や電池パックの価格下落に伴い、リチウムイオン電池は将来より幅広い分野で使用されることが見込まれています。


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