1907年に制定された日本の刑法では、暴力犯罪は凶悪犯罪と粗暴犯罪の2つに分類されます。殺人、強盗、放火、強姦の罪を犯した者は凶悪犯と呼ばれ、粗暴犯とは、暴行、傷害、脅迫、恐喝、凶器準備集合の罪を犯した人を指します。刑法では、凶悪犯は1年以上20年以下の懲役、無期懲役、または死刑に処するとされ、粗暴犯は15年以下の懲役刑、または50万円以下の罰金に処すると定めています。2021年には、日本全国で4人に死刑判決が下され、18人の無期懲役が確定しました。
警察庁の統計によると、2022年に刑法犯として検挙された20歳未満の少年の数は、全国で約1万5千人(前年比0.5パーセント増)であったことが判明しました。少年刑法犯の検挙者数は、過去最高となった2003年から減少の一途をたどっていましたが、19年ぶりに増加に転じた形となります。
日本における犯罪
日本で最も発生件数が多い犯罪は、窃盗罪です。凶悪犯罪に焦点を当てると、暴行・傷害が最も多く、次いで強姦、殺人となっています。2021年の日本の人口10万人当たりの犯罪発生率は、暴行が約21.1件と殺人が約0.7件でした。凶悪犯罪と粗暴犯罪の全体件数は、ここ数十年で大きく減少傾向にありますが、犯罪発生件数の減少にともない、世論とマスメディアは個々の事件に関心を向ける傾向がみられます。大量殺人事件や無差別殺人事件が発生すると、容疑者が犯行に至った原因について大きく報道され、市民の間では盛んに議論が行われます。
たとえば、2016年に起きた神奈川県相模原市の知的障がい者施設に入所していた19人が刺殺された「相模原障がい者殺傷事件」は、日本社会における障がい者差別や、障がい者への虐待に対する意識の高まりにつながりました。
また、2008年に東京・秋葉原で発生した「秋葉原通り魔事件」では、犯人が運転するトラックが歩行者天国に突っ込み、7人が死亡しました。2011年に死刑判決が下され、2022年に死刑が執行されたことで事件への関心が再び高まり、日本の死刑制度の妥当性が議論されるきっかけとなりました。
2023年7月、1966年8月に一家4人殺害の罪で逮捕され、のちに死刑判決を受けた元プロボクサー袴田巌氏の再審に向けた裁判所と弁護団、検察による3者協議を前に、袴田氏の弁護団は9月に初公判を開くよう静岡地裁に申し立てました。日本弁護士連合会は、当時の捜査機関が袴田氏の有罪を立証するために虚偽の実験を行ったことや、犯行時の衣服としては不自然な衣類を証拠として提出した点を指摘し、えん罪である疑いが強い事件として広く呼びかけています。
日本における銃規制
戦後の日本では、民間人による鉄砲などの所持を禁じた「鉄砲等所持禁止令」が1946年に制定され、1958年には「銃砲刀剣類所持等取締法」が施行されました。この法律は、職務(警察官や自衛官など)・スポーツ射撃・狩猟目的で許可を得て所持する場合を除いて、拳銃、小銃、機関銃、大砲、猟銃、空気銃などの銃器の所持を禁止するものです。クロスボウや刃渡り15センチメートル以上の刀などの武器の所持も同法律で禁じられています。
狩猟訓練を行うなどの理由で銃の所持を希望する人には、身辺調査や精神保健指定医の診断書、講習会と筆記試験、射撃教習などをクリアした後で、ライフルや散弾銃、猟銃、空気銃の所持許可証が公布されます。すべての許可証は3年で失効し、更新の際も同様の手続きを踏む必要があります。2021年時点では、日本の民間人が許可を得て所有していた銃の数は、約18万8千丁となっています。
厳しい銃規制の影響は、報告される凶器の種類にも反映されています。2021年に解決済みとなった殺人事件で使用された凶器をみると、包丁やハサミなど刃物類の割合が6割を超えており、銃器が使われたのは1パーセントにも満たないことがわかります。2022年7月、安倍晋三元総理が銃撃により命を落とした事件では、発砲事件や銃による死者が日本では極めて少ないという事実が浮き彫りになりました。犯人が元首相を手製の銃で暗殺したことは、皮肉にも日本が銃規制に成功していることの裏付けとなり、日本で銃撃事件が稀であることを強く印象づけたといえます。安倍元首相が凶弾に倒れた事件から、早くも1年が経ちました。安倍元総理を殺害した罪で起訴された山上徹也被告の裁判は、公判前整理手続きがまだ始まっていないため、初公判は2024年以降になる見通しです。
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