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「プラごみ大国・日本」の廃棄削減に向けた取り組み

2023年10月12日 | 発行元 Statista Japan
大都市の海辺に打ち上げられた大量のプラスチックごみ。
Larina Marina via Getty Images
  • 日本におけるプラスチックごみのリサイクル率は87パーセントにのぼり、一般廃棄物のリサイクル率(約20パーセント)をはるかに上回っています。 
  • 2023年9月、ソニーグループはエンタテインメント・テクノロジー&サービス(ET&S)分野で新規設計するヘッドフォンやスマートフォンといった小型製品のプラスチック包装材の廃止を2023年度中に達成する見込みであると発表しました。

軽量で安価なプラスチックは、製品の原材料や繊維、医療機器、食品・飲料容器として広く用いられてきました。そのため、日本を含む世界中の国々では膨大な量のプラスチック廃棄物が発生しており、プラスチックごみ汚染は深刻な環境問題に発展しています。マイクロプラスチック(微細なプラスチックごみ)は、人間はもちろん海のいきものにとっても有害です。細かく砕かれたプラスチックが海水に残留する汚染物質を吸着し、食物連鎖に紛れ込む恐れがあるためです。 

プラスチックごみの発生

近年、日本は世界最大のプラスチック生産国のひとつとなっており、国内で生産されるプラスチック製品には、主に包装用プラスチックフィルムやプラスチック容器などの使い捨てプラスチック製品が挙げられます。日本では、包装用プラスチックが安全で衛生的という印象を抱いている人が多いため、食品・飲料用容器として幅広く使用されています。なかでも自動販売機で購入できるペットボトル入り飲料品や、スーパーマーケットの人気商品である弁当や総菜がプラスチックごみの発生に寄与していると考えられています。なお、プラスチック包装は日本の家庭から排出される容器包装廃棄物の大半を占めています。

日本におけるプラスチックごみ

日本はこれまで、主にアジア諸国へとプラスチックごみを大量に輸出してきました。しかし、中国がプラスチック廃棄物の輸入を禁じた2017年以降、その輸出量は大幅に減少し、プラスチックごみを削減して国内で管理するためのより持続可能な解決策を模索することを余儀なくされています。 
 
日本におけるプラスチックごみのリサイクル率は87パーセントにのぼり、一般廃棄物のリサイクル率(約20パーセント)をはるかに上回っています。ペットボトルのリサイクル率はさらに高く、88パーセント以上です。問題は、プラスチック廃棄物の最も一般的なリサイクル方法が、依然としてサーマルリサイクル(廃棄物を燃やして熱エネルギーを発生させる再利用方法)である点です。そのため、実際にマテリアルリサイクル(ごみを新たな製品の原料として再利用する方法)されるのは、プラスチックごみ全体のごく一部となっています。また、サーマルリサイクルの工程では大気汚染と地球温暖化の原因となる温室効果ガスが発生するため、脱炭素化の妨げにもなっています。

プラスチックごみ削減への取り組み

日本政府は、プラスチックごみを削減するための措置として、2020年7月からすべての小売店にプラスチック製レジ袋の有料化を義務付けました。また、日本では食料品やその他の商品を再利用可能な容器で購入できる機会が増えつつあります。2022年4月に日本で実施された調査では、回答者の半数以上が「再利用可能なエコバッグを使用し、プラスチック製レジ袋を避けるようになった」と述べており、レジ袋有料化の措置が一定の効果を示していることがわかります。 

2004年以降、政府は廃棄物の発生削減(リデュース)、再使用(リユース)、再生利用(リサイクル)からなる「3Rイニシアティブ」の市民と企業への浸透に向けた取り組みに力をいれ ています。このイニシアティブに基づき、日本政府は2019年に「プラスチック資源循環戦略」を開始しました。2025年までにすべてのプラスチック包装およびプラスチック製品をリユースまたはリサイクル可能なデザインにし、バイオプラスチックなどの原材料への切り替えを促進するのが目標です。 

こうした状況を踏まえ、日本の産業界ではプラスチック包装を廃止する動きが活発化しています。2023年9月、ソニーグループは、エンタテインメント・テクノロジー&サービス(ET&S)分野で新規設計するヘッドフォンやスマートフォンなど小型製品のプラスチック包装材の廃止を、2023年度中に達成する見込みであると発表しました。同グループは、ET&S 分野とゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野において、2022年度に36の新機種でプラスチック包装材を廃止しています。 

また、一部の日本企業は、包装材料を中心にプラスチック製品を紙製品に置き換える取り組みを行っています。紙の生産コストはプラスチックより高い場合が多いですが、紙でできた代替品はよりコンパクトかつリサイクルが可能で、環境に優しいとされます。


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