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日本における環境汚染の現状と対策

2023年12月4日 | 発行元 Statista Japan
もくもくと煙をあげる京葉工業地帯の石油化学コンビナート。
vichie81 via Getty Images
  • 2023年10月に海洋研究開発機構が発表した調査結果によると、千葉・房総半島の沖合約500キロメートルの水深4千メートルから6千メートルに存在する深海平原に大量のマイクロプラスチックが堆積していることが明らかになりました。 
  • 2013年以降、日本の温室効果ガスの年間総排出量は減少傾向にありますが、日本は気候変動対策が不十分だとの国際的批判を浴びています。 

日本の自然環境は、急速な産業発展や経済成長、人口増加による影響を過去数十年にわたって受けてきました。大気汚染や土壌汚染、海洋汚染は、さまざまな健康被害を引き起こすうえに気候変動の一因となることから、日本にとって大きな課題となっています。 

人間の活動が引き起こす汚染に加え、自然災害も環境汚染の要因となります。日本はその地理的条件から、地震や津波、台風、火山の噴火といった自然災害が発生しやすい国土です。近年、災害により発生した廃棄物の最大シェアを占めたのは「コンクリートがら」で、次いで「土石類」が2番目に大きなシェアを占めています。 

環境汚染の主な原因

大気汚染は、日本の主要な環境問題のひとつです。大気汚染による死者は増え続けており、年間4万4千人以上に達しています。大気汚染の主な原因は化石燃料の燃焼によって生じる排出ガスで、火力発電所や工業施設、自動車などがその発生源です。そのため、汚染が深刻な地域は主に大都市などの人口密集地域となっています。 

「エネルギー転換部門」は、日本で最も多く二酸化炭素(CO2)を排出している産業部門であり、大気汚染につながっています。2011年の東日本大震災による福島第一原発事故以降、原子力発電が石炭やガスといった化石燃料を使用する火力発電に置き換えられたため、震災直後にCO2排出量が増加しました。 

また、日本におけるごみの処理方法としては、廃棄物の容積を簡単に減らせる焼却処理が一般的で、日本のごみ焼却率は75パーセント近くに増加しています。焼却処理場には排ガス処理設備が備え付けられているものの、大気汚染や気候変動の原因となる温室効果ガスが発生します。 

廃棄物による土壌汚染と海洋汚染も、人間の活動が引き起こす環境問題です。日本は、世界で最もプラスチック生産量・消費量が多い国のひとつに数えられ、毎年大量のプラスチックが廃棄されています。細かく分解されたプラスチック粒子は、有害な化学物質を吸着して食物連鎖に入り込むため、マイクロプラスチック汚染は、人間と生物の健康を脅かす脅威となっています。 

このインフォグラフィックは、特定の都市における2022年の微小粒子状物質(PM2.5)の年間平均値を示したものです。
出典元:statista.com

日本の環境汚染対策

戦後の急速な工業化に伴い、海洋汚染の確認件数が増加したことなどを受け、日本では1970年に「水質汚濁(おだく)防止法」が制定されました。同法では、一定の水質基準を満たしていない排水の排出が禁じられています。 

さらに日本政府は、廃棄物汚染の改善を目的とする「3R」と呼ばれる取り組みに力を入れています。3Rとは、リデュース(Reduce、削減)、リユーズ(Reuse、再利用)、リサイクル(Recycle、再循環)の頭文字を取った行動指針のことで、企業や市民に対して資源の有効活用を促すものです。とはいえ、日本におけるごみのリサイクル率は、過去10年にわたって約20パーセントと低水準で推移しています。 

空気質を改善し、温室効果ガスの排出を削減するため、日本政府は、原子力および再生可能エネルギーのシェア増加によるエネルギーミックス(電源構成)の多様化に焦点を当てています。2013年以降、日本の温室効果ガスの年間総排出量は減少傾向にありますが、日本は気候変動対策が不十分だとの国際的批判を浴びています。 


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