エネルギー価格は、市場経済と同じように需要と供給のバランスによって大きく変動し、主に市場の投機や地政学的な事象に影響されます。近年では、2022年のロシアによるウクライナ侵攻と、それに伴う各国の対ロシア制裁により世界的なエネルギー不足が悪化し、2021年8月から2022年3月の間に燃料エネルギー価格指数は100ポイント上昇しました。また、2022年の加重平均型エネルギー価格指数は、前年比約50ポイント上昇することが予想されています。
エネルギー価格の上昇に対し、ドイツ政府はガス・電気代の価格上限制を段階的に導入することを決定しました。日本でも2023年2月から適用される負担軽減策により、1キロワットあたり7円値下げされる予定です。
エネルギーに関する緊張が高まった2022年でしたが、2023年に入ると欧州の記録的な暖冬によって、ガスの需給逼迫への警戒感が和らぎました。これにより欧州天然ガス価格の指標であるオランダTTFは年初に10%超下落し、2021年11月以来の安値となりました。
エネルギーの主要な指標となる原油
エネルギー商品の中で最も重要であると言っても過言ではない原油の価格変動は、経済活動や消費者の生活に多大な影響を及ぼします。原油は自動車の燃料やプラスチックなど、工業製品の主原料として広く使用されているためです。2021年に多くの国でコロナウイルス関連の規制が緩和されると、燃料需要が拡大し、原油価格は主要な指標全てにおいて顕著に上昇しました。コロナウイルスの感染が拡大した際に20米ドル未満であったOPECバスケット価格、欧州ブレント原油価格、そして米国ウエスト・テキサス・インターミディエイト原油価格は、2022年半ばには120米ドルを超え、15年ぶりの高値を記録しました。この価格高騰によりスタグフレーションのリスクが高まり、多くの企業や消費者はかつてないほどの高額な燃料費に苦慮しています。
エネルギー分野を構成する天然ガス、石炭、ウランの価格
電気や熱の生成には、主に天然ガス、石炭、ウランが使われます。石炭や天然ガスは化学製品や製鉄にも使用されますが、電気需要の変化がその価格変動に反映されるケースが多く見られます。発電に石炭を最も多く使っている中国では、2021年秋に電力需要が増加し、同国の石炭のスポット基準価格は約2倍に上昇しました。また欧州では、ロシアのウクライナ侵攻後、オランダのTTFガス先物価格が急激な価格上昇を繰り返しました。パイプラインの流量が大幅に制限や停止されるなど、欧州大陸へのガス供給の将来的な安全性が不透明なため、価格が不安定に推移しています。
こうしたエネルギー商品の価格上昇は、小売電気料金に直接影響を及ぼします。また石炭やガスは、電気の単価の正味現在価値である均等化発電原価(LCOE、LEC)が、風力や太陽光などの再生可能エネルギーに比べて著しく高くなっています。
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