旅行・観光産業は、明確に定義するのが難しい産業です。ほかの産業とは異なり、明確な商品が存在しないからです。旅行・観光産業には、宿泊業、輸送業、娯楽業など、複数の産業が含まれます。観光とは広義で、「余暇、ビジネス、保養、その他の理由から、日常生活圏外の場所に連続して1年未満旅行・滞在すること」を指します。2023年の世界全体のGDP(国内総生産)に対する旅行・観光産業の寄与額は、約9兆5千億米ドルになると予測されており、これは世界のGDPの実に9.2パーセントに相当します。
新型コロナウイルスの拡大により、観光産業は大打撃を被りましたが、需要は大きく回復しています。国連世界観光機関(UNWTO)は、2024年1月に発表した「UNWTO世界観光指標(UNWTO World Tourism Barometer)」において、2023年の国際観光客到着数が世界全体で約13億人に達し、2019年の水準の88パーセントまで戻ったことを明らかにしました。旅行需要は、アジアの力強い回復に支えられて持ち直し、2024年末までにはパンデミック前の水準に戻る見通しです。
世界で人気の旅行先
GDPに対する旅行・観光産業の寄与額を国別にみると、米国と中国で旅行・観光業が盛んなことがわかります。とはいえ、世界で最も国際観光客到着数が多い国はフランスで、新型コロナウイルスのパンデミック発生以前も以降も同様です。また、フランス・パリのルーヴル美術館は、世界で最も入館者数の多い美術館となっています。2022年、同美術館の入館者数は、約770万人にのぼりました。
観光業のデジタル化
2022年、世界のオンライン旅行市場規模は4,748億米ドルに達し、2030年には1兆米ドルを超えると予測されています。オンライン旅行市場をけん引する企業には、ブッキングドットコム(Booking.com)とエクスペディア(Expedia)があります。2社は、料金比較機能やメタ検索エンジンを活用し、最適な宿泊先や航空券などの商品・サービスを顧客に提供しています。
サステナブルツーリズムの重要性
2019年に発表された国連報告書「観光業における輸送の二酸化炭素排出量(Transport Related CO2 Emissions of the Tourism Sector)」によると、観光が気候変動の大きな要因となっていることがわかっています。最近では、旅行が環境に悪影響を及ぼす可能性を認識し、サステナブルツーリズムや環境にやさしい旅行の選択肢を重視する観光客が増えています。2022年2月に実施された調査では、世界の旅行者の81パーセントが「サステナブルトラベルは重要」と回答しています。
StatistaとBooking.comは、日本の宿泊業界に関するデータをまとめた最新の共同レポートを2024年2月にリリースしました。旅行需要の回復や、短期滞在用宿泊施設(STR)とホテルの業績比較、日本のホテル経営者が抱える課題について関心のある方は、こちらからぜひご覧ください。
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