スマートフォンは、日本のいわゆる「ガラケー」と呼ばれる従来の携帯電話よりも高度な処理能力と通信機能を持つ携帯電話として、1990年代後半に市場に投入されました。2007年にApple(アップル)が発売した「iPhone」は瞬く間にスマートフォンの主流となり、タッチスクリーンインターフェースやバーチャルキーボードなど、誰にでも使いやすい機能は業界に革命を起こしました。Googleが開発するAndroid OSを搭載した最初のスマートフォンは、2008年後半に一般向けに発売されました。
急速に生活に浸透したスマートフォン
スマートフォン業界は2008年以降、市場規模、機種数、販売業者数のいずれにおいても着実に発展・成長しています。2022年の世界のスマートフォン出荷台数は約12億550万台に達しました。また2021年末時点で、世界の人口の約67%がスマートフォンを使用しています。複数台を所有している人もいることも考慮すると、利用されているスマートフォンの数はさらに多いと見られます。スマートフォンの世界における契約数は2021年には約63億件に及び、2027年には約76億件に到達すると見込まれています。米国のスマートフォン普及率は85%で、約3億700万人が利用しています。コロナウイルスによる打撃からの経済回復に伴い、2022年にはおよそ750億米ドルのスマートフォンの売り上げが見込まれています。日本の各世帯におけるスマートフォンの保有率は2021年時点で89%でした。モバイル端末上でのインターネット平均利用時間も年々増加傾向にあり、Eコマースやモバイルゲームなど、さまざまな関連産業に商機が訪れています。
2022年10〜12月期の世界のスマートフォンの出荷台数は3億30万台で、前年同期比18%減でした。ブランド力が強く、需要が堅調だと見られていたiPhoneも、中国でのコロナウイルス感染拡大による工場の稼働率の低下により、前年同月比14.9%減となりました。また、2022年通年の世界のスマートフォン出荷台数は前年比11.3%減の12億1,000万台で、2013年以来の低水準となりました。
競合他社をリードするアップルとサムスン
2022年第4四半期の世界のスマートフォン市場シェア率において、アップルが24%を獲得しました。Samsung(サムスン)とアップルは毎年スマートフォン市場の覇権を争っており、アップルのスマートフォン販売台数は例年、新製品が発表される第4四半期にピークを迎える傾向があります。米国では特にアップルとサムスンの2強体制が確立しており、同国のスマートフォン販売台数の大部分はこの2社によって占められています。アップルのiPhoneは米国の消費者に最も人気のあるスマートフォンで、その使用率は2022年4〜6月期に初めて50%を超えました。アップルの腕時計型端末であるアップルウォッチや動画配信サービスなど、独自の経済圏が消費者に評価されたためだと見られています。
アップルやサムスンが得意とする上位機種以外の市場では、小米(Xiaomi、シャオミ)、Oppo、vivoといった主要5社による競争が白熱しています。Huawei(ファーウェイ)もかつてはこのグループに属し、一時期は市場をリードしましたが、貿易規制により苦境に立たされています。ファーウェイが失ったシェアは主に他の中国系企業が有しており、例えばシャオミの欧州におけるスマートフォン市場シェアは、2020年第1四半期の10%から、2021年第2、 3四半期には24%にまで上昇しています。
iPhoneは2008年に日本で発売されましたが、当初は赤外線、QRコードスキャナー、TVチューナー、絵文字など、日本のガラケーでは標準的な機能がなかったため、日本での売り上げは海外と比較して伸び悩みました。しかしその後、大手携帯通信事業者3社のうちの1社であるソフトバンクによる巧みなマーケティングキャンペーンや、アップルによる日本市場向け製品の一部調整などを経て、数年後には日本の携帯電話市場はアップルにとって重要なものとなりました。
熾烈な開発競争
今ではアップルやサムスンなどに台頭されるスマートフォン市場ですが、Nokia(ノキア)は2011年第1四半期まで24%の市場シェアを有した世界のトップ企業でした。当時、ノキアの衰退は想像しがたいものでしたが、革新的なスマートフォンを次々と発表する他社に遅れを取り、その後1年ほどでトップの座から転落しました。ノキアの凋落は技術革新の最先端にあるこの業界において、開発競争でリードし続けることは極めて困難であると改めて示すものでした。
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