近年、VR業界は急速に成長しており、世界のVR市場規模は2022年の120億米ドル以下から、2025年には220億米ドル以上に拡大すると予測されています。日本でも、京都のVRゲーム開発スタートアップ企業CharacterBank(キャラクターバンク)が2023年4月、ゲーム会社などから約3億5千万円の資金調達を行ったことを発表し、話題となっています。巨額の調達額からは、VRゲーム業界が国の内外を問わず盛り上がりをみせていることがわかります。こうした背景から、企業向け(B2B)および消費者向け(B2C)の両分野で、さまざまな業界の企業がVR市場拡大の恩恵を得ることに期待が寄せられています。
VRに不可欠なヘッドセット
現在、標準的なVRシステムは、VRヘッドセット(着用した人がVRを楽しめる頭部装備型端末)やマルチプロジェクション環境を使用して、視覚や聴覚への刺激を再現するものが主流となっています。実際に仮想環境に存在しているかのような印象をユーザーに与えることが目的で、主にヘッド マウント ディスプレイ(HMD)と呼ばれる、現実世界の光や映像が仮想世界に入るのを防ぐヘッドセットを使用することで、仮想世界への没入感を生み出します。
VRヘッドセットの主要なメーカーには、Meta(メタ、当初の名称はOculus(オキュラス))、Pico(ピコ)、ソニー、HTC(エイチ ティー シー)、Valve(バルブ)などが挙げられます。なお、ここ数年リリースされると噂されていた Apple(アップル)のVRヘッドセットは、2023年6月5日(日本時間6日)に開催予定の「世界開発者会議(WWDC)」で発表されると予想されています。Appleはこの製品に、スポーツの試合やニュースなどを没入感を味わいながら視聴できる機能などを搭載する予定であるとみられています。
多方面への普及拡大
一部のアナリストは、より小型でファッショナブルな端末の導入など、VRハードウェアの改良によって、一般消費者や業界全体へのVRの普及拡大が進むであろうと指摘しています。ヘルスケアや人材開発(HR)、製造業は、VR技術によって革新的な変化がもたらされる業界であるとされ、主な実用例としては、外科医師の手術訓練や製造オペレーターの体験学習、学校での没入型教育体験などが挙げられます。このように、VRがもたらす経済的価値は世界中に広がり、活用事例の拡大・発展とともに大きく成長することが見込まれています。
直近では、大分県臼杵市が県外からの移住希望者を呼び込もうとスタートした「市内の空き家物件をVRで内覧できるサービス」が注目を集めています。臼杵市は、2014年から空き家の所有者と物件を探す移住者をマッチングさせる「空き家バンク制度」を開始しており、VRでの内覧機能を導入することで、県外在住で内覧に行けない移住者の利便性向上に期待が寄せられています。 臼杵市のように、官民問わずVRを積極的に実用化する取り組みが広がれば、国内のVR産業も大きく発展していくであろうと考えられます。
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