G7(主要7か国、Group of 7)とは、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国、米国の7か国及びEU(欧州連合)が参加し、政治や経済における国際協力を目的とする枠組みです。ロシアは、1997年から2014年までG7(当時はG8)に参加していましたが、2014年のクリミア併合以降、参加資格を停止されています。G7は、世界を代表する経済先進国の集まりであり、自由と民主主義の価値観を共有しています。
しかし、G7の経済力は、過去10年にわたり減少を続けています。GDP(国内総生産)でみた場合、購買力平価で測定したG7の世界GDPシェアは、2022年時点で約3割台に下落しています。さらに米国を除くと、世界シェアはその半分にまで下がります。G7の世界GDPシェア低下の要因としては、近年の新興国(特に中国)における経済成長が挙げられます。さらに特筆すべきは、G7の世界総人口シェアが10パーセント以下にまで減少している点です。
G7の枠組みでは、メディアで大きく報道されるサミット(首脳会議)以外にもさまざまな会議が行われています。2023年9月には、G7(主要7か国)の下院議長が一堂に会する「G7下院議長会議」が日本で開催されました。同会議は、毎年1回サミットのホスト国の持ち回りで開催され、今年の主な議題は「ロシアによるウクライナ侵攻と国際秩序」および「エネルギー安全保障と国際協調」でした。
G7に対する批判
前述の理由から、「G7が世界経済に占める割合は低く、人口に至っては完全に少数派である」との批判が高まっています。1999年から「G20(20か国・地域首脳会議)」が開催されている背景には、こうした批判への対応という意味合いも込められています。G20には、世界一の人口を抱えるインドと中国が参加し、全参加国のGDPの合計は世界GDPの7割以上を占めています。韓国、スペイン、インドネシア、オーストラリア、インドといった民主主義国をG7の枠組みに加えるべきだという意見もあり、過去に招待国としてG7サミットに参加した経験がある国も一部存在します。
一方で、国際政治や世界経済においてG7のリーダーシップを求める声は、今も存在します。最近では2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻を機に、主要な民主主義国の首脳たちがまとまったメッセージを発信する枠組みとして、G7が再び重要性を増しています。このほかにも、G7は債務超過国の救済や、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる健康および経済的被害を軽減する取り組みにも力をいれています。
また、G7に対抗しうる勢力として注目されているのがBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)です。2023年8月に南アフリカで開催されたBRICS首脳会議において、アルゼンチン、エジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、UAE(アラブ首長国連邦)が2024年1月から新たに加盟し、11か国体制となることが公表されました。6か国が新たに加わることで、BRICSの人口は世界全体の46パーセントまで増加し、GDPは世界の37パーセントに達するとみられています。
G7のこれから
G7には、その存在意義や代表性に関する議論とは別に、今後数十年で直面する課題がいくつか存在します。たとえば、少子化が進む日本とイタリアでは、すでに人口減少が始まっており、今後数十年間この傾向が続くと予測されています。さらに高齢化に伴い、すべての国で労働力人口が低下すると考えられています。医療や介護分野の人手不足がより深刻化し、経済にも悪影響が及ぶことが懸念されます。また、国際社会の力関係は、グローバルリーダーとしての中国の台頭により一変しました。米中間の外交危機からも明らかなように、世界のパワーバランスはこれからも変化し続けていくとみられています。
なお、2023年8月、中国政府は、習近平(シー・ジンピン)国家主席がインドで開かれたG20を欠席することを明らかにし、代理人として李強(リー・チャン)首相が出席すると発表しました。中国トップとしてこれまで一貫して同会議に出席してきた習国家主席ですが、今回の欠席の背景には、中国との間で国境紛争問題を抱え、米国との関係を深めているインドをけん制するねらいがあったとみられています。
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