IoT(Internet of Things、モノのインターネット)は、1999年に英国の技術者Kevin Ashton(ケビン・アシュトン)氏が考案した用語とされ、ヒトと身の回りに存在するモノをつなぐネットワークのことを指します。当時は、IoTがサイエンス・フィクションのような空想の産物であると考えていた人がほとんどでした。今日では、データを収集・分析して自律的にタスクをこなし、インターネットに接続しているモノの広範なネットワークである「モノのインターネット」が、現実となりつつあります。第5世代移動通信システム(5G)や、人工知能(AI)・機械学習を活用したデータアナリティクスといった情報技術の発達により、IoTにはスマートウォッチから都市インフラ(スマートシティ)まで、ありとあらゆる応用分野が存在します。
2023年6月、バンダイはAWS(アマゾン ウェブ サービス)のクラウドサービスでIoT化した新製品「Tamagotchi Uni(たまごっちユニ)」を発表しました。Wi-Fiを通して接続可能なたまごっちのメタバース「Tamaverse(たまバース)」では、世界中のユーザーが育てたたまごっちとの交流が楽しめるとみられています。たまごっちは、1996年にデジタルペットの先駆けとして発売され、若者の間で大ブームを巻き起こしたバンダイの人気商品です。
最先端技術としてのIoT
電子腕時計やカーアラーム、協調制御型信号機といったスマートな”モノ”が、何十年も前から使用されているのは周知の事実です。IoTは、より高度なコネクティビティと、リアルタイムにデータを収集する機能をもつスマートな製品が一段と普及するための基盤になります。IoT端末の数は、2030年には世界全体で300億台近くに達すると予測されています。IoTの導入が期待される分野は、ウェアラブル端末やスマートカー、スマートホーム、スマートシティ、産業設備など、多数存在します。
米国防総省は2023年4月、オランダの電子機器メーカーPhilips(フィリップス)と共同で、感染症の罹患を早期に特定できるウェアラブル端末を開発したと発表しました。同国防総省は、コロナ禍の2020年に米国防脅威削減局(Defense Threat Reduction Agency、DTRA)によって研究が開始されたこのIoT技術を、ほかの感染症にも応用することを検討しているとみられています。
IoTと活用事例
将来的には、技術の進歩とともに部品の生産コストが減少し、産業におけるIoTエンドポイントの大量配備が活発に行われるようになるとみられています。例を挙げると、5Gの商業化は、特に自動車産業においてコネクティビティを向上させ、セルラーIoTモジュールの展開を促進しました。IoTによる居住空間の自動化が進んだことで、2025年には、スマートホーム端末の世界出荷台数が約18億台に達するとの予測があります。
スマートホーム以外にも、IoTには、特殊なセンサーで田畑を管理できる精密な農業システムを備えたスマート農業のような活用方法もあります。スマート農業では、無人で農産物を監視でき、水と肥料を精密に制御して、持続可能な食糧生産を実現します。
日本国内でIoTが農業・水産に導入された直近の事例としては、株式会社スーパーアプリのマナシステムがあります。スーパーアプリは、アクアポニックス向けのIoTサービス「マナシステム」が、静岡県磐田市にあるタツノオトシゴの養殖場で、2023年5月から導入が開始されたと発表しました。アクアカルチャー(水産養殖)とハイドロポニックス(水耕栽培)の複合語であるアクアポニックスとは、魚の養殖と植物の栽培を両立する循環型の農業生産システムのことです。マナシステムは、IoTセンサーでアクアポニックスのデータを管理し、環境を制御するシステムとして注目が集まっています。
IoTの導入が人々の暮らしのあらゆる分野で広がれば、インフラや公益事業、公共設備の改善に役立つデータが集められ、スマートシティの開発にもつながるでしょう。
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