デジタル・テクノロジー

AI搭載パソコンはPC業界の救世主となるか

2024年9月2日 | 発行元 Statista Japan
AI(人工知能)搭載パソコンのイメージ画像
Intpro via Getty Images
  • 日本マイクロソフト(Microsoft)は2024年6月、生成AI(人工知能)の処理性能を備えた新型パソコンを発売すると発表しました。 
  • PC市場では、コロナ禍での「巣篭り需要」の反動から出荷台数が大きく減少したものの、2023年第2四半期以降は再び増加に転じています。 

日本マイクロソフト(Microsoft)は2024年6月、生成AI(人工知能)の処理性能を備えた新型パソコンを発売すると発表しました。40か国以上の言語を瞬時に翻訳できるほか、マイクロソフトがパソコン向けに開発したAI機能「コパイロット プラス ピーシー(Copilot +PC)に対応しています。こうしたAI搭載パソコンは、低迷するPC市場を盛り上げることのできる最新技術として注目されています。 

AI PCとは、AIや機械学習のタスクを実行しやすく設計されたコンピュータシステムのことです。AI搭載パソコンの市場シェアは、今後大幅に拡大し、2027年にはPC市場全体の6割に達すると予測されています。2023年の世界パソコン出荷台数は、新型コロナウイルス下での巣篭り需要の反動を受け、前年比で約15パーセント減少しました。しかし2023年第2四半期以降は、世界経済の回復とともに、再び増加に転じています。直近では、新しい生成AIアプリケーションの開発が進み、大手半導体メーカーの新型プロセッサが発表されるなど、AI PCは業界に革命を起こす存在として期待されています。 

AI処理に特化したNPU 

PCに内蔵されているCPU(中央演算処理装置)やGPU(画像処理装置)などの従来型プロセッサのほかにも、人工知能に最適化したパソコンには、NPU(ニューラルネットワーク処理装置)と呼ばれるAI処理に特化したユニットが搭載されています。NPUは、人工知能の推論処理を高速化するための装置で、生成AIや機械学習による処理を強化します。大手半導体企業は、より強力かつ効率的なPCプロセッサの開発において、中心的な役割を果たすと考えられています。 

AI PC向け半導体分野での競争激化 

インテル(Intel)とAMD(アドバンスト マイクロ デバイセズ)は、PC向けAI半導体市場において、すでに先頭に立っています。インテルは、これまで曖昧だったAI 搭載型パソコンの定義をマイクロソフトと共同で定めました。その要件は、CPU、GPU、NPUを搭載していること、Microsoft Copilotをローカルで実行できること、専用の「Copilotキー」を搭載していることの3つです。一方、AMDは2024年4月、AIプロセッサの新シリーズを発表しました。AMDの次世代ライゼン(Ryzen)シリーズは、大手ブランドが展開する高性能パソコンに搭載される見通しです。そしてもちろん忘れてはならないのが、AI革命の寵児と称されるエヌビディア(Nvidia)です。同社は、生成AIの性能を向上させる新型GPUを発表したほか、大規模言語モデル(LLM)をウィンドウズ(Windows)PCで手軽に使えるアプリ「チャット ウィズ RTX(Chat with RTX)」をリリースしました。 

AI 搭載PCが切り拓く新時代 

人工知能や機械学習の需要の高まりを背景に、大手PCベンダー各社は、高いAI処理性能を備えたパソコンの開発に乗り出しました。インテルやAMDなどは、AI処理に特化したプロセッサを提供しており、PCに搭載される標準技術となりつつあります。AMDやインテルのみならず、クアルコム(Qualcomm)やアップル(Apple)などがアーム(Arm)ベースのAI PC向けチップを開発すれば、競争はさらに過熱すると思われます。メーカー各社は、AI搭載端末の高い需要に後押しされ、人工知能を搭載したパソコンを主力製品として展開していくと予想されます。 


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