リモートワーク(在宅勤務)は、新型コロナウイルス感染症の流行前までは、一部の人だけに許された特権でした。しかし、社会のデジタル化が加速し、知識経済への移行が進んだことで、今ではリモートワークやハイブリッドワークという働き方が可能になっています。人びとの考え方にも変化が生じており、リモートで働けるという選択肢は、いまや就活生や転職希望者が就職先を決断するうえでの重要な要素となっています。
リモートワークの現状
コロナ発生以降、世界中の企業はリモートワークを導入することで、オフィスの賃料や光熱費といった固定費を大幅に削減しています。また世界の企業経営者の多くは、従業員が在宅勤務でもしっかりと働いてくれると信用し始めています。実際にリモートで働く人は、時間や場所に縛られない働き方ができることに加え、経済的観点からも在宅勤務がより好ましいと考えています。2023年時点では、世界の中堅・大手テック企業において、週2~3回のオフィス勤務が求められています。
2023年10月、米小売大手のアマゾン(Amazon)は、同社が5月に導入した週3回のオフィス出勤義務に従わない従業員を、管理職が個人の裁量で解雇できるようにしたと報じられました。新型コロナウイルス感染症のパンデミック中に完全在宅勤務者として採用された社員もいるとみられ、アマゾンの対応は内外で大きな波紋を呼んでいます。
一方で、適切な就業規則の策定は、リモートワークを採用する企業にとって大きな課題となっています。また、直近ではリモートワークにおけるリスクへの懸念が強まっており、特に在宅環境での情報セキュリティの確保を不安視する声が上がっています。
在宅勤務を可能にするツール
世界のIT企業は2020年以降、テレワーク環境の整備やセキュリティ技術の導入など、ITインフラの改善に多額の資金を投入しています。特に新しいコミュニケーションチャネルを社内に作り、チームの団結力を強化してくれるコラボレーションツールは、在宅での多様な働き方を実現するうえで、重要な役割を果たしています。
2021年に行われた調査では、多くの企業が、自社のリモートワーク環境を整備するためにクラウド化(クラウドイネーブルド)やコラボレーションツールに対して優先的に投資を行っていたことがわかっています。2022年第2四半期時点では、マイクロソフト(Microsoft)が世界のユニファイドコミュニケーション/コラボレーション(UC&C)市場の40パーセント近くを占めていました。
Web会議ソフトウェアには多くの利点がありますが、リモートワークがニューノーマルな働き方となるにつれて、改善されるべき点が多々あるのも事実です。2022年末には、多数の企業がリモートワーク導入を終え、在宅環境におけるセキュリティの確保に乗り出しています。
在宅勤務者の情報セキュリティ
テレワークが導入されてからというもの、ITの専門家たちは、安全性の低いWi-Fiへの接続やパソコンの放置、データ漏えいなど、リモートワークにより生じる脆弱性への対応に追われています。脆弱性は人的要因によるものが多く、業務効率化のために従業員が会社のセキュリティポリシーや使用制限を破るケースが後を絶ちません。
2021年の調査では、世界の従業員の約54パーセントが、「会社でセキュリティポリシーの改訂が行われた/社内向け情報セキュリティ教育を受けた」と回答しています。情報セキュリティ教育の主なテーマには、フィッシングメールやマルウェア、Wi-Fiの安全な利用方法が含まれます。
また、欧州および北米地域の企業は、従業員向け情報セキュリティ教育ツールの導入にコロナ禍前と比較してより多くの時間とリソースを割いています。セキュリティ教育やワークショップを行える職場環境の構築は会社の責任ですが、従業員一人ひとりがフィッシングメールやマルウェア・資格情報の盗難といったサイバー脅威の見分け方をしっかりと身につけることで、企業はサイバー攻撃による情報漏えいのリスクを抑えられます。
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