デジタルトランスフォーメーション(DX)が「できたらいい施策」から「欠かせない施策」へと変わったいま、IT人材に注目が集まっています。さまざまな業界の大手企業がデジタル技術の導入を進めていることから、ITの専門家は最も求められる人材のひとつになっています。ジグ(Zig)やアーラン(Erlang)などのプログラミング言語に精通した技術者は、IT業界で最も給与が高いとされ、平均年収は約10万米ドル(2024年6月の為替レートで約1,560万円)にのぼります。
新型コロナウイルスのパンデミックが始まった2020年以降、世界中の企業は、リモートワークやハイブリッドワークができる環境を整え、IT人材を支援する対策に資金を投じてきました。在宅勤務に必要なデバイスを配布し、リモートワークの効率性を高めるための社員への研修プログラムを提供することや、離職防止(リテンション)施策を実施することは、こうした対策の一部です。また、ITプロフェッショナルは、業界で求められているITスキルを今まで以上にしっかりと把握する必要があります。2023年に世界のリクルーターや開発者を対象に行われた調査によると、最も需要の高いプログラミング言語はジャバ/ジャバスクリプト(Java/JavaScript)とパイソン(Python)でした。一方で、リクルーターにとって最も採用が難しいIT職種は、フルスタック開発者とバックエンド開発者となっています。
人手不足が深刻な日本のIT業界では、エンジニアが転職しやすい状況が続いています。2023年1月から3月に行われた調査では、国内のIT職種経験者が転職した際に平均年収の増加幅が最も大きいのは、セキュリティエンジニアになった場合であることがわかりました。平均年収の増加幅は約67万円で、2位のITコンサルタントになった場合の増加幅は64 万円でした。
米国のテック業界
2020年以降、米国のテック業界では、雇用者数が概ね増加傾向で推移してきました。同業界の雇用者数は、2020年6月に大幅に減少した後、2022年4月には300万人を突破し、同年10月には過去最高を記録しています。2023年の大規模レイオフ(一時解雇)により、増加傾向には終止符が打たれたものの、米テック業界の雇用者数は、2033年に670万人を超えると予測されています。
アップル(Apple)、アマゾン(Amazon)、メタ(Meta)、グーグル(Google)、ネットフリックス(Netflix)、エヌビディア(Nvidia)、ツイッター(Twitter)など、数多くの世界的大企業が本社を構える北カリフォルニア地域は、ハイテクや技術革新のグローバルセンターです。そのため、シリコンバレーで働くIT人材の平均年収は、米国の他都市と比べて最も高くなっています。米国のIT業界で最も年収が高い職種はITマネジメント職で、平均年収は約16万5千米ドルにのぼります。なお、ソフトウェア開発者とサイバーセキュリティ・エンジニアの平均年収は、14万5千米ドルから15万5千米ドルです。
テック業界におけるジェンダーダイバーシティの取り組み
テック業界は長年にわたり、ダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(包括性)の問題を抱えてきました。社会的圧力によって、過去数年で改善した点もありますが、2023年3月に発表されたIT技術関連職の採用に関する調査では、グローバル企業の多くが、マイノリティ(社会的少数者)や退役軍人に比べ、女性の採用が難しいと答えています。2023年時点での世界のテック企業における女性リーダー比率は、14パーセントにとどまりました。同年、世界のソフトウェア開発者のジェンダー比率は、男性が約76パーセント、女性が約23パーセント、その他が約1パーセントでした。
テック業界を震撼させたレイオフの波
経済の不確実性が増した2023年、テック業界では大規模なレイオフ(一時解雇)が相次ぎ、同年末までに、世界の1,180社以上の企業で26万2千人以上が解雇されました。解雇者数が最も多かったのは米国で、全体の約3分の2を占めています。同国では、インフレ率の高騰や金利の上昇、経済成長の鈍化、地政学的緊張の高まり、サプライチェーンの混乱などを背景に、大手企業とスタートアップ企業の双方が利鞘(りざや)の維持に苦慮しました。
世界的にみると、IT業界では今後も雇用者数が増加すると考えられています。しかし、熟練人材不足や経済の不確実性といった課題が残ることから、テック業界では2024年もレイオフが行われるとみられています。
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