「次世代のインターネット」と呼ばれるメタバースは、物理的世界とデジタルの世界が融合する空間です。メタバースは、ソーシャルテクノロジーの進化系であり、アバターと呼ばれるデジタルの分身を介して、さまざまな環境で他人と交流することができます。VR(仮想現実)ヘッドセットやAR(拡張現実)グラス、スマートフォンアプリを使用することで、職場やオフィス、コンサート、スポーツイベント、そして衣服の試着など、多様な場面で無限の相互接続を実現する「バーチャルコミュニティ空間」を体験することができるのです。
Facebook(フェイスブック)がMeta(メタ)に社名変更
フェイスブックは2021年10月、 AR/VR開発者向けカンファレンス「フェイスブック・コネクト(Facebook Connect)」で、社名をメタ・プラットフォームズ(Meta Platforms)に変更したと発表しました。新しい社名は、ソーシャルサービス(交流サイト)の枠組みを超えて成長するメタの野心を反映したもので、社名変更のニュースによってメタバース業界は活気づきました。人気ソーシャルサービスのフェイスブックとメッセンジャー(Messenger)、インスタグラム(Instagram)、ワッツアップ(WhatsApp)などのアプリは、メタの傘下にとどまることが決まっています。
また、メタは事業部門を刷新し、AR/VR事業やメタバースの開発に取り組むリアリティ・ラボ(Reality Labs)部門の業績を財務報告書で開示しています。2023年7月にメタが公表した同年第2四半期の決算資料によると、リアリティ・ラボ部門の売上高は2億7,600万米ドル、営業損失は約37億米ドルに膨れ上がったとみられています。2022年初頭から2023年第2四半期までにリアリティ・ラボ部門が計上した営業損失は、213億米ドルにのぼると予想されています。
メタのAR/VRハードウェア開発
メタは2021年、リアリティ・ラボ部門に100億米ドルを投資すると発表し、2021年8月には、VRサービス「ホライズン・ワークルーム(Horizon Workrooms)」を公開しました。同サービスは、VRヘッドセットを着用している人が職場での対面会議のようにミーティングを行えるバーチャル会議室です。また、メタは同年9月、動画を撮影できる最新のスマートグラス「レイバン・ストーリーズ(Ray-Ban Stories)」を発表しています。
2023年6月、メタのマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)最高経営責任者(CEO)は、同年秋リリース予定の次世代型VRヘッドセット「メタ クエスト 3(Meta Quest 3)」を発表しました。メタ クエスト 3には、コンテンツをより美しく表現するために高解像度ディスプレイとパンケーキレンズが搭載され、旧機種より薄く、より快適なデザインとなる見込みです。また、業界トップレベルの「メタ・リアリティ(Meta Reality)」技術により、物理世界と仮想世界をシームレスに融合することができるとみられています。
日本のメタバース市場
日本においては、最先端技術の活用によって新しいビジネスチャンスを生み出すメタバースに対して一部企業が関心を示しています。2022年初頭に日本企業(第一次産業を除く全業種)を対象に実施された意識調査によると、約10パーセントが「自社ビジネスへの(メタバースの)活用に関心がある」と回答したことがわかっています。
日本におけるメタバースの市場規模(ビデオゲームのみを対象とするサービスを除く)は、2023年度時点で2,851億円と推定されており、今後数年で拡大することが見込まれています。メタバース市場の成長は、拡張現実(XR)用のヘッド マウント ディスプレイ(HMD)や360度カメラといった関連ハードウェア技術の開発と普及に加え、ユーザーを魅了するコンテンツの有無に大きく依存すると考えられます。
2022年2月、日本のビデオゲーム大手バンダイナムコホールディングスは、自社の人気コンテンツ「機動戦士ガンダム」をベースとしたメタバースの開発に150億円を投じる計画を発表しました。この通称「ガンダムメタバース」は、同社のガンプラ(ガンダムプラモデル)やアーケードゲームと紐づけられたものになると予想されています。同月、国内大手ゲームメーカーのスクウェア・エニックスは、ゲームプラットフォーム「ザ・サンドボックス(The Sandbox)」と提携し、RPGゲーム「ダンジョン・シージ(Dungeon Siege)」のIP(知的財産)をメタバースに導入することを明らかにしています。
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