ジェンダー平等に関する定義は人や地域、時代によって異なりますが、一般的にはあらゆる点において、男性と女性に平等な機会と権利を与えることを意味します。これは権力や影響力といった抽象的なものから、労働条件や家事の分担といった具体的なものまで幅広い分野をカバーしています。
ジェンダー平等の測り方
ジェンダー平等の測定には様々な方法がありますが、「グローバル・ジェンダーギャップ指数」が最も広く知られている指標です。この指標は毎年、経済、政治、教育、健康など、14の項目に沿って、各国のジェンダー格差を評価しています。2022年に最もジェンダー格差が小さかったのはアイスランドで、次いでフィンランド、ノルウェーが続いています。一方、パキスタンやアフガニスタンといった国は、ジェンダー平等が乏しいとされています。
また、女性と男性の不平等さを測定する「ジェンダー不平等指数」という指標もあり、これは生殖に関する健康、女性の地位向上、労働上の3つの側面からジェンダーの公平性を評価しています。2021年の調査で最もジェンダー格差が小さかったのはデンマークで、最下位にはイエメンがランクインしました。世界経済フォーラムが2022年7月に発表したジェンダー・ギャップ指数によると、日本は146ヶ国中116位でした。アジア太平洋地域途上国で、日本よりランキングが集った国は23ヶ国もありました。
男女間における賃金の格差は残るものの、年々縮小傾向にあります。同一の資格と仕事を持つ男女の給与の中央値を見ると、女性の賃金は男性の賃金と比べて0.01米ドル少なくなっています。仕事内容などを加味しない、男女全体の賃金においては、女性は男性の収入1米ドルに対して0.82米ドルの収入となりました。
ジェンダー平等の実現性
マクロ地域別では、南アジアと中東・北アフリカ地域でジェンダー格差の解消が遅れており、2022年の解消率は約63%に留まります。最も進んでいるのは西ヨーロッパで、解消率は76%にも及びます。しかし、西ヨーロッパでもジェンダー格差が完全に解消されるのは60年後であるとされており、アジア太平洋地域全体で解消されるのは150年以上先と試算されています。国連は全世界においてジェンダー平等を実現するには、現在の進捗状況では300年近くかかると試算し、2021年まで4,400万人の女性が住む場所を追われた他、出産可能な女性の12億人以上が、中絶が制限された国で生活しているとしています。
このような試算はジェンダー格差の解消の難しさを物語っているように見えますが、特定の地域が全体的な解決の足を引っ張っているのが現実です。学校に通えない子供の数は過去10年間停滞しており、初等教育を受けていない女子生徒の数は男子生徒より多くなっています。教育の達成度や健康・生存率に関する世界のジェンダー格差は2022年時点で解消されたと考えられていますが、経済的・政治的格差がジェンダー平等への深刻な問題となっています。女性は出産時に育児休暇をとりますが、その前後で収入が低下する「チャイルドペナルティー」が近年注目を集めており、各国の先進企業は解決策を模索しています。
ジェンダー平等に影響を与える要素
ジェンダー平等への悪影響の要因として、紛争や危機が挙げられます。2021年にタリバンがアフガニスタンを掌握すると、2022年にアフガニスタンはジェンダー平等ランキングにおいて最下位となりました。また、コロナウイルスの感染拡大は男女の貧困格差を拡大させ、女性は男性に比べてより大きな経済的打撃を受けました。この理由には、コロナ禍で学校などが閉鎖され、介護の負担が女性に集中したことなどが挙げられています。また、都市封鎖(ロックダウン)期間中には家庭内暴力の数も世界で急増しました。
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