中国は、世界で2番目に人口が多いだけでなく、最も高齢化が進んでいる国のひとつでもあります。主な要因としては、出生率の低下が長く続いたことや平均寿命が延びていることが挙げられます。少子高齢化は、これからの中国社会・経済にとって大きな課題となるでしょう。
かつて中国では、人口の大きさを国力と考えた毛沢東が多産を奨励し、無秩序な人口増加が長年にわたり続きました。しかし毛沢東の死後、中国政府は人口過剰が経済成長の妨げになることを認め、産児制限を導入します。これが1979年に始まった「一人っ子政策」であり、1970年代に女性1人当たり約5.00だった中国の出生率は、2000年から2010年には約1.60にまで低下しました。しかし、出生率の低下に加えて平均寿命の急激な延びが重なり、中国の人口ピラミッド(年代別の人口バランス)は大きく歪みました。60歳以上が総人口に占める割合は、2020年の17.8パーセントから2040年には32パーセントに上昇すると予測されている一方で、出生率は依然として低空飛行を続けています。この傾向は、老齢人口依存率(65歳以上人口を15歳以上65歳未満の生産年齢人口で割った値)にも反映されており、2020年の18パーセントから2060年には66パーセントと、3倍以上に膨れ上がる見込みです。
高齢化を巡っては、中国各地で悲惨な事件が相次いで発生しています。南西部の雲南省に位置する山間部の集落では、3年前に40代の息子が同居していた父親を絞殺するという事件が起きました。事件現場となった家では、70代の父親が病気を患い、息子が一人で介護を行っていたと報じられています。息子は障害を抱えており、農業による年間収入は約4万円とされ、生活は非常に厳しいものでした。検察によると、息子は父親の病状悪化により食事を取れなくなったことに苦しみ、「これ以上苦痛を与えたくない」という思いから殺害に至ったとされています。
中国における高齢化の影響は、すでに生産年齢人口の変化に表れています。働き盛り世代の人口は、2014年以降下り坂を辿っており、安価で豊富な労働力を武器としてきた中国経済の成長モデルは、転換期にさしかかっています。これを受けて、中国政府は、労働生産性を向上させ、産業構造の高度化を実現するための措置を講じています。今後は、こうした産業再編の取り組みがより重要性を増すとみられています。
また、公的年金制度の改革も、中国政府にとって喫緊の課題です。かつて中国では、年金制度の適用対象が都市部の従業員に限定され、適用対象から除外された農村部の従業員や農民は、老後の生活を家族による扶養と貯金に頼らざるを得ない状況が続いていました。しかし政府は、2010年に「都市従業者基本年金」の加入条件を満たしていない、すべての人々を対象とした新しい年金制度をスタートさせました。さらに近年では、適用対象が大幅に拡大され、かつては対象外だった人口の大半をカバーしています。とはいえ、基礎年金の支給額は極めて低く設定されているため、中国政府は、年金だけでは生活ができない高齢者や身寄りのないお年寄りにも支援の手を差し伸べる必要があります。
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